涼宮ナツキの憂鬱 第三十一話 ハイキングコースを登る手前、見覚えのある後ろ姿を見つけた。 「おっす」 涼宮ナツキに声をかけた。 「お……おはよ」 ナツキはあわてて挨拶をかえした。なんだこいつ、今日は一段と様子がおかしいな。 「あんたには関係ないでしょ」 まあそうだけどさ。 「ふぇー、キミが涼宮さん?」 美春はまじまじとナツキを見る。こうして見ると姉妹みたいだな。 「そうだけど何?」 「かっこいー」 美春は目をキラキラ輝かせてナツキを見ていた。お前つくづく怖いもの知らずだな。 「キョウこの子誰?」 「朝比奈美春。俺の幼馴染みだよ」 簡単にナツキに紹介した。今度はナツキが目を輝かせて、 「ねえ美春ちゃん!SOS団に入らない?」 「えすおーえすだん?」 美春は頭にハテナマークを浮かべたような顔で首をかしげた。 「あたしと、古泉くんと、キョウの三人でやってるの。部員が足りないから美春ちゃんもどう?」 「おもしろそう!あたしも入るよ」 おいおいおい、それでいいのかよ。 「だって古泉先輩がいるんでしょ?」 お前の狙いはやっぱりそれか。確かに一樹先輩はかっこいいけどな。 「決まりね!よろしく美春ちゃん」 「うん!よろしくねナツキちゃん」 ここに新たな友情が生まれた。んなことはいい、美春もSOS団に入るのか?余計に騒がしくなるじゃないか。 俺はただ溜め息をつくしかなかった。 [前へ*][次へ#] [戻る] |