涼宮ナツキの憂鬱
第三十話
昨日、今日と一見可愛い女の子と登校しているのに、全く楽しくないのはなぜなのだろうか。
「キョウくん難しい顔してどうしたの?」
ぴょこぴょこ跳ねていた美春が急に回れ右をして尋ねてきた。
「なんでもねーよ」
「むぅ……これでもあたしの方がお姉さんなんだからね」
「誕生日が1か月早いだけだろうが」
「えへへ」
まったく、同じ学年とは思えないな。
「お前何組だっけ?」
「ひどいな、覚えてくれてないの?」
「あんま興味なかったからな」
「体育の時一緒なのに」
ということは6組か。
「いつもキョウくん見てるんだよ?」
美春はもじもじしながら言った。そんな視線は感じなかったような気もするが。
「うそつけ」
「ホントだよ!昨日の体育のバスケの時キョウくん一人で20点も取ったじゃない」
「俺そんなに取ったっけか」
「スリーポイント4本とツーポイント4本」
「は?」
「キョウくんが入れたシュートの数だよ」
美春は自信ありげに答えた。
「よく覚えてんな」
「すごいでしょ」
「そんなん覚える前に英単語でも覚えたらどうだ?」
「あぅーヒドイよ」
やれやれ、こいつのお守りも疲れるな。
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