涼宮ナツキの憂鬱
第一二二話
そこは部屋。俺の部屋。首をひねればそこはベットで俺は床に寝転がっていた。
今のは夢?夢なのか?
見知った女と二人きりの場所で告白しかけたなんて、俺らしくない。親父に言ったら即行ネタにされちまう。俺はそんな爆笑しそうな夢を見てしまったのか?
ぐあ、今すぐ首吊りてえ!
……寝よう。
俺は布団に頭まで被り、冴え渡った脳髄に睡眠を要求した。
一睡もできなかったけどな。
そんなわけで俺は今、這うようにしてきょうも不元気に坂道を登っている。正直つらい。途中で谷口に会わなかっただけマシだと思おう。
「よう、元気か?」
1年5組の俺の席。その後ろに居座る女子に声をかける。
「元気じゃないわね。悪夢を見たから」
「そうかい」
ナツキはいつものように不機嫌そうだ。少なくとも顔の面だけは。
「あんた、今日弁当持ってきたの?」
「いいや、忘れてきた」
もちろんわざとな。母さんごめん。
「今日のお昼楽しみにしてなさい」
「早弁しちゃだめか?」
ナツキはクスリと笑った。
「もちろんダメよ」
「そうか」
今日の昼飯は期待できそうだ。
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