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小噺
/2(島迅(島??))

















「迅…だからって何故」






「一回来て見たかったんですよ!!戦○迷宮!!」







真っ暗な道、まだ何も見えないがとてつもなく面倒臭そうな予感がする。
迅…慎吾さんまさかそう来るとは思わなかったなぁ…。






まぁいい。
お化け屋敷なら大丈夫だ。所詮人間が追っかけてくるだけなんだろ。
長い間歩くのは面倒だけどな。











「ーそういえば、迅って幽霊とか苦手なんじゃなかった?」







いつだったか怪談話を皆でした日の帰り、こっそりと教えてくれたのを覚えている。
さっき短いビデオを見た時点でだいぶビビッていたような。









「まぁ、苦手ですね…でも本当に一回は行ってみたかったし、それに、」











慎吾さんが、いるからー…










怖くても大丈夫なんです、と。


次第に小さくなっていくその言葉をしっかりと聞き取り、俺は幸せの境地に立った。









「大丈夫だよ」









安心させるように優しく言って、迅の手を握る。
暗くて顔は見えなかったが、俺の手を握り返す力がいつもより強いのが可愛らしく思えた。




















「迅、大丈夫か??」




「うぁ…大丈夫です、でもびっくりしましたね」



「な。俺もちょっとびびったわ」






油断して歩いていたら、典型的な仕掛けで幽霊(っぽいの)が飛び出してきた。
俺はもともと幽霊系は苦手ではない。驚きはしたものの、これぐらいなら多分大丈夫だ。



迅の方は、その後も同じような仕掛けにビクビクしていた。
うん、予想通り可愛い反応だ。














「――――!!!!!!!!」










またもお化け屋敷にいる事をそっちのけで歩いていると、迅が声にならない叫びを上げた。

ついに出たのだ、仕掛けじゃなくて、人間が扮しているお化けが。
しかも2体、後ろにもいる。






「大丈夫だよ、じ…うおっ」














大して驚きもしていない俺に反して迅の方は想像以上の驚きを見せた。

さっきまで遠慮がちに繋いでいた手が、助けを求めてしっかりと握られる。






おぉ、お化け屋敷特権か。迅がこんなことを自分からしてくるなんて。



















ーしかし、迅は俺のロマンチックモードを許してはくれなかった。












「うわーーーーー!!」




「ちょ、迅待っ…!!」








富○急名物、追ってくるお化け2体をすり抜けて、桐青高校一の俊足を持つ迅は走り出した。





その速さは風のごとく…。

















ずってーん




そりゃもう見事な音を立てて、あまりのスピードについて行けなかった俺は盛大に転んだ。







「慎吾さんっ…大丈夫ですか!!?」




それで我に返った迅は、心配そうに手を差し伸べてくる。
せめて、平気だと言って颯爽と立ち上がりたかったが、腰を強打した俺は素直にその手を取った。



気付けばさっきまで追いかけて来ていた幽霊たちも心配そうに俺たちの周りをウロウロしている。こみ上げる羞恥心。








「迅…できれば俺に合わせて走って」



「はい…本当にごめんなさいっ」






必死に謝ってくる迅に「いいよいいよ」と答えながら、実はとても優しい幽霊たちに見送られて、俺たちは暗い道を進んでいった。


































「お、出れたな」


「慎吾さん、平気ですか??」



「もう大丈夫だから…これ以上言わないで」



残りの道、人生最大の恥(だと思われる)を味わいながら歩いた俺にとっては、迅の心配が心に痛すぎた。







言ってもまだ俺のことを心配している迅は、近くのベンチに座りましょうと言った。

確かにまだ腰が痛い。
気付いたら俺の分の飲み物を買ってきて手渡してくる迅。




ー本当だったらそれは俺がやる予定だったのに。













「…迅、ごめんな?転んだ上に気つかわせて。」



「え、そんな」










「あーマジで俺、かっこわり…」






何となく言ってしまったが、これまた恥ずかしい。
どんだけ情けないんだ…。





「そんなことないですよ!!最後の方は全然平気だったじゃないですか!!」




「でもなー」





フォローされても何か悲しい。









「あと、」








「へ?」



















「転んだ時の慎吾さん、可愛かったです…今も」



















そう言いながら、優しく手を取って俺の前を進んでいく迅は、すごくかっこよくて。



なんだか複雑な気持ちになったが、今日のところは変に考えずに、迅のその温かい手を握り返してみた。






















―さぁ次は、観覧車にでも乗りますか?


















End.




とんでもない慎吾へタレ話後編でした。
酷いな!!そして最後は迅島アピールです。
ダメですか、迅島ダメですか…というか私の迅島がいけないのか!!(しょぼん)

で、さりげなく後日談があるので、下に載せてみました。↓↓
















「慎吾…腰は大丈夫なのか?」



「なっ!!?」



昼休み、教室にやってきた瞬間にマサヤンの口から飛び出して来た言葉に俺は絶句した。


「派手にコケたもんねー」

「ずってーん!!ってな」


後ろには山ちゃんと本やん、タケまでいる。もしや。



「楽しかったねー、富○急!!」

「ちょ…なんで!!?」



「え?なんでって…誕生日祝いに遊園地デートしたいのはお前らだけじゃぁないんだよ?」



にんまりと笑いながら、タケに「ねーっ」と言って山ちゃんははしゃいでいる。


「本やんとマサヤンもいたのか?」



「マサヤンに夏は忙しいし混むし行きたくねえって言われちゃってさー。じゃあこの機会にって☆」


「…付き添いでな」


「雅也さん嘘はやめてくださーい」



「ま、つまり」




「俺ら4人で慎吾のへタレっぷりをじっくり観察してましたー!!」






…そしてこの話はあっという間に野球部の間で広まり、その勢いは留まるところを知らず、今も校内を情報が駆け巡っている。

俺はもう二度と、こいつらの好意は素直に受け取らないようにしようと心に誓った。













今度こそ本当に終わりです。

つまり山、タケ、モト、マサでグループデートしつつ慎吾たちをチェックしていました。
迅が走った所では皆追いつくのが大変でしたが、慎吾がコケたので助かった+ネタゲットです。

遠目からしっかり見てました。
ちなみに私の妄想モトはお化け屋敷苦手です。雅也にしがみついていました。
こちらはオープンへタレなので恥ずかしいとは思ってません(笑)
慎吾は本人がヘタレだと思っていないのでこういう事態になります。

とりあえずあのデートは最後に観覧車でちゅーして一応幸せになっています。
(肝心なとこハショった)



こんなグダグダな話ですみませ…!!
ここまで読んでくださった方々は神様です!!

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