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小噺

そんなふたりのある一日















「あのっ…明日って空いてますか?」



「おー。何?もしかしてデートのお誘い?」



「…っ」




「え、マジで?」










からかうように言えば、迅は顔を真っ赤に染めた。
…空いてないわけがない。
9月20日、馬鹿らしいと言われるかもしれないが俺と迅の真ん中バースデー。どこかしらに行こうとは思ってはいたが、まさか迅が言ってくるとは。












「えーと…遊園地とか、好きですか?」





「…迅と行けるならどこでも好きだよ」









そうしてニッと笑顔を向けると、またまた頬の赤色は濃度を増した。
いつまでも初々しい反応をしてくれる迅。
ああ、本当に可愛い。










「実は山さんとモトさんが、明日2人で行けってチケットくれたんですけど…」




「え、あの二人が?…」




「はい、お祝いだって」






なる程、迅は遊園地に行きたいと言うようなタイプじゃないと思っていたので合点がいった。
しかしなんて気が利くヤツらなんだ、3-4コンビ…たまにはいい事をしてくれんだな。今度何か奢ってやるか。







「よし、じゃあご好意に甘えて行きますか!!」




「忙しいのにすみません…」




「遠慮すんなよ。たまには息抜きも必要だろー」






「はい、じゃあ、明日!!」





















「で、迅。」




「はい?」













「何故初っぱなからド○ンパなんだ…」






「え…面白くないすか?」







「いや、もうちょっと徐々にさぁ…」






「慎吾さん…怖いんですか?」







「そういうわけじゃねぇけど…」














遊園地…某ネズミの楽園に行く気満々だった俺は、迅に富○急だと言われた瞬間に寒気が走った。


ジェットコースターが嫌いなワケではない。しかし好きでもないのだ。
第一富○急といえば絶叫系の恐ろしさで有名。
ネズミ帝国なら、全然余裕だ。
しかし富○急。

人が乗るものではないだろう…わざわざ行く気はないね。



山ちゃんにそう話したのはいつだったか…。
あの2人への感謝の気持ちは消え失せた。


そして迅。お前、絶叫系好きだったんだな。慎吾さんは観覧車にでも乗って恋人たちの時間を楽しみたかったなぁー…






「あ、慎吾さん!!次ですよ!!」

「お、おぅ」


こうして俺は、人知を超えた乗り物に導かれたー…




















「楽しかったっすね!!次何にします!?やっぱり富○山ですかね!!?」




「いやちょっと待て、迅。少し間を置こう…」



人知を超えた乗り物に、何とか打ち勝てたようだ。
しかしまさか乗り物で冷や汗をかくとは。
乗ろうと思えば乗れる。しかし何回も乗って大丈夫な保障はない。

とりあえずさっきはかろうじて迅の隣で悲鳴を上げるという最悪の事態は免れた。
何故か異様にテンションの高い迅と、若干体がふらつく俺。なんだかとても情けない気分だ。





「慎吾さん…絶叫系苦手でしたか?」



「いやいやいや!!大丈夫なんだけどね、やっぱり楽しみは後に取っておきたいだろ?」





「あ、そうですね。じゃあ違うのにしましょう!!」








苦しい言い訳を信じてくれた迅に感謝しつつ、
今のうちに人知を超えた乗り物に再びトライする覚悟を決めておこうと強く思った。






















続きます。

へタレ慎吾万歳!!←
受験生がこんなことしてていいのか、というのは触れないで下さい…笑
今年の真ん中バースデーは天気微妙でしたが、このお話内では晴れということで^^


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