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赤と黒


「カナデ、お前は優しい人間だな…」

じっと私の瞳を見ながら話すシン。
私は優しくない。
いつもの私ならシンの事なんか
ほっといたはずだ。
でも、なぜあんなことしたんだろうか。
シンの瞳を見つめながら考えても
答えがでてこない。

「さて、仲直りもしたことだ…
さき進むぞ?」

と、疑問系で尋ねてきたのに
返答する前に歩き出す、シン。
返事くらいさせろ、バカ。

シンは前を見つめながら、

「そういやー、カナデ。
俺と同じ匂いがする…
シャンプー間違えたか…?」

シャンプー………??
はぁ?って顔してるはずだ、私。

チラッと私を見て

「お前が寝てる間、風呂にいれたんだよ
気づかないってことは爆睡してたんだな」

クククと笑いながら私に言う。
待て、お風呂?
誰が…私が……いつ……寝てるとき……
まさかと思うが…!!

グイッと今までにないほどの力をこめ、
シンの襟首を引っ張り

『○○○○○○!!』

と大口で口ぱくする。

「はぁ? わかんねぇぞ?」

チッと舌打ち。やっぱり無理だったか。

「おい、今舌打ちしたな?!」

なんか言ってるがスルー。

しょうがない、身振り手振りで伝えてやる!

私は、
着てる服を掴み、誰が入れた!?とまた
口ぱく。
身振り手振りは無理と悟ったんだ…仕方ない

「………?」

シンはすっとぼけた顔をしてる。
腹立つな、こいつ。

「……もしかして、
誰が私を風呂にいれた?って
言ってるのか?」

……こいつ、天才か?!
首が取れんばかりに頷く。

「そんなに首を振るな。痛めるぞ?」

サスサスと私の首に触れる。
心配させてしまったようだから、
首を振るのをやめ、シンの返答を待つ。

「よし、やめたな。
で、入れたやつだが、
本当は俺がやりたかったんだが……」

断固拒否する。

「ソウが駄目だって五月蝿くて、
メイドたちにいれさせたぞ?
カナデも俺がいれた方が喜ぶのにな」

ソウ??。
誰かわからないが、ありがとうと
叫ばして欲しい。
メイドってことは女性…まぁひと安心かな。
最後の言葉は無視しよう、うん。

「おい、無視か?」

無視無視。

「チッ、いいよ、今度無理矢理にでも
一緒に入れさせるから」

バッとシンの方を見ると
してやったりって顔をしていた。

ゴンッ☆

「痛って!! おい、グーで殴るな、
このバカナデ!!」



一方的に交わされた一つの約束



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あきゅろす。
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