[通常モード] [URL送信]

赤と黒


バカはその後は無言で
私を抱いたまま部屋を出ていく。
初めてさっきまでいた部屋から出た。
まぁ、あの部屋も路地生活していた私でも
豪華な装飾品で飾られている
言わばお金持ちの部屋だったが、
廊下もお金持ちらしい廊下だった。

壁には無駄に飾らず、高そうな絵画。
等間隔に置かれたキレイな花。
そして、ゴミや塵が落ちていないカーペット。
もしかしなくても、バカの家は金持ちらしい…。

「……デ……カナ…カナデっ!」

耳元でバカの叫ぶ声。
驚いてパッと顔を上げたら、怪訝な表情をしていた。

「さっきからずっと呼んでたんだが…?
何考えてたんだ、俺の腕の中で俺以外の
人のこととか考えてたのか……?」

怪訝した表情からどんどん眉間にシワがより
会ってまだ数時間の私でも怒ってるって
分かる…。
考えてたのは、この家の持ち主のシンの
事だ。
伝えなければと思うが、
私は喋れない。
身ぶり手振りでも限界がある。
恐らくこれは身ぶり手振りでは伝えにくいだろう。

どんどんシンの顔が怖くなる…。

「何で黙ってる……図星だったのか
……おい、何か言えよっ!」

ぎりぎりと私の肩を掴むシンの手に
力が込められていき、
ぎりぎりと骨の辺りから
変な音がする。

苦痛で歪んでく私の顔。
もうヤバイかもしれないと思ったとき
肩の力が弱まった。
何故だと思い顔を上げたら………


嫉妬嫉妬、俺以外のことは考えるな……



6/14ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!