恋するあの子は無表情。 …に、 しばらく待っていると、スピーカーから笑いを堪えている様な、男の人の声が聞こえてきた。 「ふっ、ククッ…誰だ?」 「……転入する事になっている…笹本、文人です。」 「あぁ?…後の2人はどうした?」 「……あっち。」 涼太が座っている方を指差す。 「俺はここの守衛をしている、奈良原妃(ナラハラキサキ)だ。…そこの猿は知り合いか?」 猿…?…あ、おーどー君のことか。 「……。」 俺は首を横にふる。 「そうか……ぶふっ!」 「……。」 あ、おーどー君がまた門から落ちた。…また登ってる。 守衛さん…笑ってるし。 「…校内、入りたいんですけど。」 「くくくっ、あぁ、今開ける。」 目の前の門がゴゴゴッ…と音をたてて開いた。 その時、扉の振動でまたしても落下したおーどー君を見て…笑っている守衛さんの、笑い声が聞こえた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |