恋するあの子は無表情。
…さん。
女顔の男(チワワ)達から浴びせられる好機の視線に晒されながら、俺と涼太は屋内の席に着いた。
「へぇー、料理はカウンターで受け取るんだな。」
涼太は驚いた風に言った。
「王道にしては珍しいような…」
後半はブツブツ言い始めたので無視しておく
メニューは各テーブルに置いてある。
どうやら、ここで予めメニューを決めてからブザーでウェイターを呼んで注文、出来たら呼鈴がなって、カウンターに取りに行く…と、
何だか、デパートの飲食店みたいだな…。
「ん、文人は何を食うんだ?」
妄想の世界から帰ってきた涼太がメニューを見ている俺に気づいて向かい側からメニューを覗いてきた。
「……フライドポテト、S。」
「そんな物まであんのか、すげぇな。」
今度は涼太が逆さまのままメニューを覗いて、うーんと唸っている。
俺の目の前には涼太の旋毛がある。
「こんなにあると…さすがに迷うなぁ。」
涼太の旋毛を人差し指で軽く押してみた。
「っ、なにすんだよ…文人。」
「…、」
顔をあげて、少しむくれながら俺を睨む涼太に思わずフッと笑みがこぼれた(無表情)
「……旋毛、押してみた…。」
「…腹下さねぇか、それ…。」
「…下すかも、な」
少しだけ顔の筋肉が動いた。
「ったくよー、本当に下したら笑い事じゃねぇんだぞ。」
「ごめん…」
更に膨れた涼太の頬を指でつついて破裂させながら謝った。
「ぶふっ!」
「…っ」
顔が歪んで、肩が震える(笑っている)
「…俺だけが文人の笑顔見るとか…美味しくねぇし…。」
涼太の呟きは聞こえないことにした。
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