[携帯モード] [URL送信]

恋するあの子は無表情。
…に。


処変わって、俺は今食堂に来ている。


大きなガラス張りの部屋で、外が一面に見渡せる。

外には庭があり、手入れの行き届いた花園の中で優雅に食事を楽しむ生徒もいる。


「すっげーなぁ、本当にこれが食堂かよ…。」


隣に立つ涼太が感嘆の声を上げた。





俺達がなぜ、食堂に来たのかと言うと、



率直に言えば、腹が減ったからだ。


勿論、俺じゃなく涼太の腹だ。


そこで、涼太は編入したてで不安…という訳では無いだろうけど、同室者の藤崎を誘って食堂に向かっていた。


途中、俺と遭遇し
(藤崎は先に行ってしまったが)
丁度良いから俺も一緒に来い…と言われたので、今に至る。



何だか面倒くさい事が起きそうな気はしたが、考えるのも面倒くさいので、とりあえず涼太に流されるまま連れ添ったのだが…






「なぁ…涼太?」

「なんだい?文人君。」

「…食堂の生徒達から…過度の視線を、感じるのは…気のせい、か…?」

「そうだな、気のせいじゃないな、事実、可愛いチワワ君達はお前に熱視線を浴びせ続けている。」

何でだ。

可愛いチワワ君達ってなんだ。


「目を逸らすな文人」


逸らしてねぇよ。


「ほら、耳を澄ませ…。」


澄まさない、澄ましたくない。


そう思ったが無情にも俺の耳は捉えてしまった…



『誰?見たことないねー、』

『左の人イケメンじゃない?』

『もしかして今日編入してきた人じゃない!?』

『僕狙っちゃおうかな〜』







「……。」

「ほらな?」





……ちくしょうが。





[*前へ][次へ#]

13/19ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!