恋するあの子は無表情。
…よん。
「…男嫌いなのに…男子校に…?」
「うん、1年の時は普通だったんだけどね…
2年の時に襲われかけて、自分をそうゆう目で見ている人が居ることを知って…
それからは自分が本当に信頼している人としか交流しないんだ…」
たしかに…同じ男に襲われかけたらトラウマになるよな…。
「だから、僕も友達でいなきゃ…嫌われたくないし、彼の事を裏切りたくないんだ…」
そう言って、久遠さんは悲しそうに笑った。
「…久遠さん…」
「少し悲しい気もするけど、嫌われたり、離れたりするほうが辛いから…僕の気持ちは我慢するんだ。」
この時、久遠さんを抱き締めたくなったのは、俺だけではないと信じている…
「笹本くん、味見役ありがとう。」
「俺の、方こそ…ご馳走様です…。」
「また、休みの日には何時でも来てくれて構わないからね…」
「……。」
頷き、お礼を言ってから家庭科室を出た。
出るとき、袋詰めにされたクッキーを渡された。
後で涼太にも分けてやろう…。
麻生によって害された俺の気分は、久遠さんと言う、歳上とは思えない程の究極の癒しによって潤ったのだった……
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