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恋するあの子は無表情。
…に。




エロエロ大魔人麻生のいる魔城から出た俺は寮から離れたところにある学園廊下を彷徨いていた。





と、家庭科室らしい教室から甘い匂いがする。




誰か…居るのか?



こっそり覗くとオーブンで何かを焼きながらボウルの中のクリームを混ぜている人がいた。






なんだか、楽しそうに作っているな。




テーブルには沢山の焼き菓子やケーキが並べられている。











「…。」


うまそうだ…。




無表情であろう俺はジーッと焼き菓子の山を見ていると、近くに甘い匂いを感じた。





「…食べますか…?」




顔を上げると、クリームを混ぜていた人が笑顔で俺にマフィンを差し出していた


「…。」


頷く。


「どうぞ、」


俺はマフィンを受け取って頬張った。




瞬間、甘い匂いと溶けたチョコレートが口の中に広がった。



「…うま…」



頬が僅かだが綻ぶ




「美味しいですか?」

「…あぁ、」



よかったです、と微笑むクリームを混ぜていた人、改めマフィンの天才。


「これ……あなたが…?」

「はい、まだ完成じゃ無いんですけど…」

「…すごく、美味しいです…」

「ありがとうございます…」



照れたように笑うマフィンの天才




なんだか、すごくいい人だ。




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あきゅろす。
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