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Novel GS2(長編)
冬の海 2
若王子貴文先生は常に笑顔。

柔らかい物腰、優しい言葉。

ついでに言えば、背が高くてハンサム。

でもねぇ、みんな、あの外見に騙されてると思うんだよね。

笑っていても、大事な所はしっかり、きっちりと押さえてるの。

1年生の時は、優しくてカッコイイ先生に当たったからラッキー、とか思ってたけど、最近になって先生の笑顔も柔らかい物腰も優しい言葉もふざけた言動も全部計算されたものなのかなって思う時がある。

どうしてそう思ったかっていうと、クラスの事全てが最終的には若王子先生の意にそってるって事に気付いたから。

尖っている生徒達、いわゆる不良とか言われるような生徒達は、いつの間にかちょっと生意気で元気の良い生徒に変わっていたりする。

若王子先生は怒ったり、偉そうにしたりしない。

ただ、笑って、とぼけたふりしながら、先生が望むような選択肢を選ぶように私達を誘導しているように・・・見える。

・・・まぁ、そう見えるってだけなんだけどね。

私は化学室の前で少し気合いを入れてから勢いよくドアを開けた。

「おや結城さん、気合い十分って感じですね」

ええ、もう、早く帰る為にも、気合いなら十分どころか十二分に有りますとも!

蛍光灯がついていても天気が悪いせいで、少し薄暗く感じる化学室の窓際に先生は腕組みをしながら立って外を眺めていた。

薄暗い教室の中で白衣が真っ白く浮き出ているように見える。

「はい。とっととやって、さっさと帰りましょう」

言いながら私は腕まくりをして、若王子先生の横に立った。

そして何気なく先生の視線を辿ってみる。



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