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Novel GS2(長編)
噂 6
真波が隣を歩いている赤城に目を走らせると、こちらを見ていたらしい赤城と目が合った。

話かけないで、と、言えるはずもなく。

「うん。クラスメイトなんだから」

笑顔を浮かべて嘘をついた。

「君、結構意地っ張りなんだね」

「なんで?」

「素直じゃないから。いいたい事があるならいうべきだよ。僕はそういう機会を作ったつもりだけど」

「だって、なにもいう事なんてないもの」

「・・・・・わかったよ。君がそういうならそうなんだろう」

赤城は溜息混じりにいった。

赤城のいいたい事はわかるが、何故か一方的に責められている事に、ちょっとムッときた真波は、

「なんか、奥歯にものの挟まったようないい方ね」

思わず赤城にいってしまった。

「君にいわれたくないな」

「いわせてるのは赤城くんでしょう?」

思わず赤城を睨み、いってからハッとする。

まわりにいるはば学生達の視線に気付いた時は後の祭りだった。

赤城と話さないようにするどころか、喧嘩腰のいい合いする事までやってのけてしまったのである。

軽く眩暈さえした。

自分の軽率さに呆れるしかない。

「へぇ。君でもそんな事いうんだ」

「・・・・・・」

一体何が楽しいのか、笑顔の赤城に真波は返す言葉も見つからない。

「物静かな子だって印象があったから、ちょっと驚いた」

「あんな風にいわれたら誰だっていい返すよ?」

「そうかもしれないけど、いい返さない子だっていると思うけど?」

「確かにそうだけど」

何をいっても勝てそうな気がしない。

すっかり赤城のペースに乗せられてしまっていた。

「僕としてはそういう方が面白くていいけどね」

真波にはちっとも面白くなかった。

ちょうど国道沿いの大きな交差点に差し掛かり、真波は足を止めた。

「わたし、ここからバスに乗るから」

「そう。僕はこの近くに塾があるから。じゃあ、また明日」

「さよなら」

愛想笑いを浮かべながらいい、赤城と別れ、横断歩道で信号待ちをする。

国道を行き交う車をぼんやりと眺めながら思う。

どうして赤城と同じクラスなんだろう、と。

違うクラスだったら、きっとこんな風になってなくて、明日の事に頭を悩ませる事になっていないはずだった。

国道を行き交う車が一斉に停まり、歩行者信号が青に変わる。

真波は横断歩道を渡り、バス亭ですでに並んでバスを待っている人達の列の後ろに付き、首筋に流れ落ちてきた汗をポケットから取り出したハンカチで拭った。

赤城と関わり合いにならないことは、ちっとも楽勝なことじゃなくなっていた。






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あきゅろす。
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