20
いのとは受付で別れてリーさんの病室に向かう。開きっぱなしの扉を不審に思ってそっと部屋を覗くとそこにはリーさんの担当上忍のガイ先生とナルトとシカマルがいた
「ナルト?」
なんとなく異様な空気に声が掠れる。病室の一点に集中していた視線をこっちに向けたナルトの顔はどこか怯えているようだったが、それも一瞬ですぐに元の顔に戻った
「サクラちゃん、こんなとこで何してんだってば?」
「私はリーさんのお見舞いに。あんたこそ何してるのよ」
「お、俺もゲジマユの様子を見にきただけだってばよ」
「シカマルと一緒に?」
「俺はチョウジの見舞いついでにナルトの様子を見にきただけだ。そしたらコイツが急にいいこと思いついたって、コレ持ってここに連れてきやがったんだ」
ピッとペンを手に持つシカマルにナルトはぶんぶんと頭を横に振る
「ナルトー…あんたねぇ」
「ちっ違う!俺は落書きなんてしようとしてねーってばよ!」
チラッとシカマルを見て安堵したような顔を見せるナルト。やっぱり何かあったんだと勘づいても、心配させまいとするナルトの前では聞き出せない。私は口を接ぐんだ
「で、チョウジだけじゃなくなんでアンタも入院してるわけ?」
寝ているリーさんの部屋にいるわけにもいかずナルトの病室へと移動する。途中で一緒になったいのが髪を後ろにはらいながら聞く
「そんな無茶な修行してるの…?」
行方知れずのサスケくんの顔が頭を過る。ナルトまでいなくなったらどうしよう、なんて妙な不安が顔にも出る。ナルトはそんな私を見てニカッと笑って応えた
「明日に備えてすっげー修行してはしゃぎすぎただけだってばよ!俺ってばこんなでっけー蛙出せるようになったんだ!」
腕を伸ばして大きさを表現するナルトに少しの安堵を感じる。それでも、どこか消えない不安
「ナル…」
「だから、サスケも今修行してるだけだから、明日には絶対アイツは来る。アイツは呪印とか訳わかんねーもんに負けるような弱い奴じゃねぇ。あんま話したことねぇけどナマエだってきっとそうだ。サクラちゃんなら知ってんだろ?」
まるでそんな不安を拭うかのような言葉が、酷く身にしみる
「…そうね」
(今は信じるより他はない)
私といのとシカマルは病院を出た
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