13
確かに感じていた。チャクラが戻ってくる感覚。大蛇丸の元にいた時の戦闘の感覚
どうやら、六年前の記憶を封じた結果に私はチャクラを上手く練れなくなったらしい
近付く試合に震える
(戸惑いの中、抑えようのない高揚感を背負って)
13 隠した先
「…ナマエ、無茶はするでない。呪印の封が解けた今、暴走すればすぐ止めに入る。忘れてはならんぞ」
「はい」
マントの中で軽く左肩を掴んで手すりから下へ降りた。呪印が動く様子はない
(今のところ、問題はない)
六年前には呪印を扱いきれていた。使う気さえなければ制御出来ずに暴走することはないだろう
第一今は邪魔だ
「試合開始…ゴホッ」
試験官が合図を出す。動かずに見ていたら相手も動かずに見てきた
「困ったな…ここに来てデータのない相手か」
相手の名は…薬師カブト。電光表示板にはそう書かれている。この対戦は火影様が仕組んだのか、木ノ葉の、殺し合いにはならなさそうな相手
だが、見てみろ。音の担当上忍に変装した大蛇丸の顔を
隠すつもりなど毛頭にない笑みが、薬師カブトを貫いている。何をする気かは分からない。知るのは嫌だ
「動く気はないようだね……仕方ない」
クイッと眼鏡を上げたカブトの顔に凍りつく。まるで大蛇丸そのもののよう…気持ちの悪い、蛇行した流れのチャクラが感じられる
恐怖と嫌悪から過剰に間合いを取る。それにすらソイツは怪しさをもって笑った
『さぁ、私を楽しませて頂戴』
まるで、あの時のようだ
い く よ
私だけに向けられた口の動きにどうしようもない頭痛。カブトは会場全体を覆う煙幕をはった
「っ…」
落ち着け。アイツの、カブトのチャクラの位置なら分かっている。近寄れば離れ、風遁で煙幕をとく…それだけのこと
ザッと飛んでくる蹴りや拳を避ける。位置さえ掴めれば致命傷は防げる
「?!」
突如現れた背中の痛み。何かが刺さっている…ズクン、と呪印が動き出す感覚に身体が気付く
「チャクラは感知できても、仕掛けられた飛び道具は無理だ。君は」
「っ……何、を…」
鋭い肩の痛みに思わず膝をつく。右手で呪印を抑えようとも第一段階の状態になるそれは抑えられない
制御出来ない
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