空色リゾルフ 我愛羅
別にいい。血の臭いなんてのは慣れたものだから。でも、私の任務は貴方がそうして帰って来る度に失敗なのだ
里の周りで追い剥ぎをする砂漠の賊共を成敗する。それも確かに風影の仕事だけど。それぐらい私たちにでも出来たでしょうが。貴方には早く風影として落ち着いてもらわなければならないと言うのに
(あぁ、もう)
微かに血の臭いを漂わせて書類を片付けていく若き風影様。時刻はもう夜中というより早朝。寝ないというのはいいけど、ずっと仕事。その無表情通り疲れがないならいい。だが貴方は人間だ
「どうしたんですか」
バタバタと風影室に向かう忍を見つけ声をかける。暗部の忍である私は多忙な風影様の世話役。そして我慢の限界が来ていたところ
「先日の賊共に残党がいたようで…」
「被害は」
「女が1人、追い剥ぎにあい死亡したとのことです」
あぁ。これを聞けば風影様は途端に部屋を飛び出すだろう。まったく
「分かりました。その件は私が片付けます」
いい加減その横暴な立ち居振舞い、苛々してたところ
「しかし…」
「私は暗部の忍です。賊の残党など問題ありません。それよりも、このような雑務を風影様に持ち込む方が問題になりますよ」
とにかく、他言は無用だと告げて私は里を出た。そうして処理を終えて帰ってきたのは昼前。結局あの忍は風影様に告げ口したらしく、血の臭いを消せないまま風影室に呼び出された
(ったく…)
「お呼びですか、風影様」
その人の前に立つと、私から臭う血の臭いに少し顔を歪められた
「気になりますか?血の臭いが」
「…少しな」
「お言葉ですが、お互い様ですよ。最も私はシャワーを浴びる時間がない程多忙ではありませんから、すぐに消してきますけど?」
その不愉快な気持ちを、私は貴方の何倍も感じてきたのだ。無自覚で幼い風影様
「何が言いたい」
「風影ともあろうお方からこんな臭いがしていては、里の者が心配するんです。私はいいですけど、貴方は駄目。それぐらい察してもらいたいんですけど」
「……」
あまりにも早口で捲し立てた私に言葉を無くす風影様。どうせ、理解なんてしてないだろうな
「ま、取り敢えず」
空色リゾルフ
(3日ぶりのシャワー、浴びてきて下さい)
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