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若さゆえ シカマル


中忍になって来たツーマンセルの任務自体に問題は無かったが、組む相手ときたら女の上司


「あー、悪い悪い。前の任務で遅れてさ」


任務のランクはB。内容は火の国と風の国の国境についての評議資料の運搬。組む相手は特別上忍の女だと言われ、門で待つように言われ。当然のように歳上だと思っていた俺の前に現れた女は、俺よりも小さかった


「奈良シカマル、で合ってるよね」


五代目から聞いてきたであろう組む相手の名を呼び、頷くとソイツはニンマリと笑った


「私は名前。特別上忍は二年間やってて、専門は諜報。火影様に聞いたけど、私たち同じ歳だから敬語は無しでね」


早口で話しながら自分の忍具を確認する相手に俺は口を開いた


「改めて、俺は奈良シカマル。中忍になったばっかだ」


ただ、それだけ


「中忍になったばっか…って、木ノ葉崩しで中断したあの中忍選抜試験の唯一の合格者ってシカマルだったんだ」


へー…と俺を一瞥した名前に俺は思わず眉をひそめる。それに気付く様子もなく、印象としては無邪気。ガキみてぇな上司


「…取り敢えず、出発しねぇと」


「あ、そだね。風の国までって地味に時間かかるし」


俺に促されてやっと気付いたような女に俺は頭が痛くなるのを感じた。風の国まではこれから約三日はかかる。往復すりゃ六日。中時間任務の筈だが、俺にとってはかなり長いモンになりそうだ


「この任務のランク、何だったっけ」


「B」


そんな事も把握してねぇのかよ、とは言えず(仮にも上司)。木と木を跳び移りながら答える


「シカマルの能力、聞いておきたいな」


顔は見えないが、楽天的なトーンの声に俺は内心力が抜ける。こう…壁の無さすぎる上司は正直やりにくい


「俺の術は相手の影に自分の影を繋げて、俺と同じ動きを強制する」


「面白い術だねー、範囲はどれぐらい?」


「俺の影の面積分」


「成る程、じゃあ半径10メートルは余裕…か」


フッと見えた名前の顔には声と違い、ハイトーンなものは見られない。それに言葉も呟きのようで、俺には上手く聞こえない


「下に降りるよ、シカマル」


そして完全に無表情になった名前に従い俺は下に降りる。渡されたのは巻物


「これ…」


「火の国と風の国の国境についての評議資料。シカマルはここから動かないで目に入った敵を影で止めて」


「おい、敵って」


全くその気配を感じられない俺に名前は笑う。単純な笑顔だった


「相手の数は10人。どれもこれも中忍以上っぽいな…一応こっちには流さないようにするけど、来たら影で止めて。すぐに私が仕留めに行くから」


「待てよ!相手が10人なら俺が行って動きを止めた方が効率いいだろっ」


そう言うと名前は眉を下げて目を細めた


「んー…言いたくはないんだけど、これぐらいの敵の感知も出来ないなら今からの戦闘は足手まといなんだよねー。私一人の方が楽に終わる」


“それにこれは上司命令だから”


そう言うと名前は消えた。苦笑いをされた。ガキみてぇと思っていた女の突如の裏切り。俺はとにかく渡された巻物をポーチに入れて、視界を広くとれる位置についた


やっと感じられた戦闘の気配でも、どちらが優勢に戦っているかは把握出来ず


『足手まといなんだよねー』


(なんとも簡単に言われたもんだ)


んなのは分かってんだよ。けど、やっぱ気にくわねぇのはあれだ。俺が苦手なタイプの女だから(つーか女はどいつも苦手だ。特に木ノ葉の奴は)


取り敢えず上司命令という指示に従って術を組める体制をとる。まだ着なれない上着がウザったい









若さゆえ
(そんなんで済まさねぇ、バーカ)




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