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自由行動をも巻き込んで


名前達が午前中に原爆資料館など予定されていた施設を団体で回った後、自由行動となった午後の一発目に来たのは長崎特産品名店街という様々なお土産をここで全て買い揃えられてしまうのではないか、と思われるほど置かれている物の種類が豊富な名店街であった。以前に約束した通り、自由行動の時間になると名前を迎えにきた小春とそれとセットの一氏、そして名前と同じ班の千歳が成り行きで一緒に行動しているところまでは一氏は何とか了承したようだった。しかし


「何が嫌でお前らとまで一緒に…っちゅーかこれ以上俺と小春の邪魔者はいらんのじゃ!」


「お前俺らを二人で回らせる気か!流石に何か嫌やろ!」


「ほな同じクラスの男らと一緒にどっか回っとけ!」


「お前らとの方が仲えぇやんけ!」


「はぁ!?きっしょいこと言うてんなねぼけんや!」


これまた成り行きで一緒に行動することになった白石と謙也に明らかな嫌悪を表す一氏は、謙也と言い争いをしながら小春にベタベタして忙しそうである。そんな様子を遠巻きに名店街を見て回る名前や千歳、白石は我関せずと各々がピン、とくるものを手に取っている


「っち、まぁしゃあないわ。お前ら、あと30分で土産買え。次から土産買うとこ行かへんぞ」


行き先を考えているのは一氏らしく、特には行きたいという場所もない名前らはその言葉に頷いてばらばらと散って好きなコーナーの前でお土産を選ぶ。名前は家族へのお土産にはカステラでいいだろうと決めていたのでそちらには時間を取られなかったが、財前へのお土産は本当に何も考えて居なかったので困ってしまう。そんな様子に気付いたのか、名前の隣に現れたのは千歳であった


「どぎゃんしたと?」


「おん。光にお土産買うて帰る約束したんやけど、何がえぇんかなー思って」


「財前に?何がよかかねー…」


「このビードロ、言うの?ガラスの笛みたいなペコペコなるヤツ買おう思ったんやけど、誰がいるん?って感じやん」


「いや、別に鳴らさんでも飾っとけばいいたい。このガラスの薄さと色の淡さがよか」


俺なんかはすぐ壊してしまいそうけんね、ばってん、財前ならそんなこともなかよ、と笑う千歳の笑顔に押し負かされたのか時間を気にしたのか、名前は結局ビードロを財前のお土産にすることにして全ての買い物を済ませた。その他のメンバーが買い物を済ませた後、一氏の進行のもとにメンバーは船に乗り着いた場所は飛山磯釣り公園という、釣り堀であった


「長崎に来て釣り?」


いや別に行きたい所があった訳でもないけどやな、と不満を露にする謙也を他所に一氏は含み笑いを浮かべて皆に言い放つ


「これからは二人一組で行くで。ちなみにいっちゃん釣った魚の少ない二人には罰ゲームや」


ほな行こか小春、と小春の手を取り笑顔で行ってしまう二人の背中に謙也は聞いてへんぞ!と怒鳴るがスルーされ、次に言葉を発したのは白石であった


「ほな行こか」


「……おいこら白石」


先程、一氏が小春の手をとったように平然と名前の手を取った白石に謙也がどうツッコミを入れていいのか躊躇って反応が遅くなる。名前はというと釣りなんてしたことないなぁ、と先々行ってしまった小春と一氏をぼんやり見ているだけで自分の手前で起こっていることをどこか他人事のように感じていた









12 END



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