story
あたたかい場所
今日は真冬だって言うのに暖かい。
異常気象か何だか知らないけど、
ぽかぽか陽気で部屋にこもってるのは勿体無い。
けれど、
俺が言ってもあいつは言うことを聞かないし。
「外、行かない?」
「う〜ん。」
いくら声をかけてみても変なうなり声で返事。
ソファから動かない、本から目を離さない。
この根暗女が大事だなんて…
COOLな俺が一緒にいたいと思うのは…
残念ながら、この根暗女なんだ。
「マ〜カ〜!」
「ん〜もうちょっと…」
仕方なく俺は、マカの部屋から彼女の服(まだ部屋着だから)や、ブラシと髪を結うもの(起きて顔洗ってからそのままだから)などを持ってきて甲斐甲斐しく彼女の身支度を始める。
マカが動けなかった時、身支度や世話をしていたから、俺は慣れた手つきで髪を二つに結った。
着替えだって、そん時に手伝ってたから慣れたもんだ。
「マカほら、ばんざ〜い」
「ん〜」
そりゃ、何度も着替えは手伝ったり(脱がしたり…)
してるからってのはあるけど、
マカの視線は依然、本に集中。
少しは恥らってほしいんですけど…
「ほら、マカ。支度できたから外行くぞ!」
「え〜。」
「外ってどこに行くのよ?」
「どこって特には無いけどよ、せっかく暖かいんだから…」
「わざわざ出かけなくても、暖かいのはここも一緒でしょ」
「この屁理屈女。」
「ちょっ!!やめ…」
あんまり駄々こねる奴にはお仕置きだな。
そう言ってわき腹をくすぐると、マカはようやく本から俺に視線を移した
「あ〜!あはは!わ、わかったからやめてよ!!」
「ごめんなさい、は?」
俺はマカチョップ防止の為にマカの腕を掴んだまま。
「ごめんね?ソウル君。さぁ、お出かけしましょうか?」
「ったく人に身支度させといて…もう今日は出かけない。」
仕返しに俺は怒ったフリ。
「お、怒ってます?」
「ここが一番暖かい。だろ?」
そう言ってマカに微笑む。
「ふふ、今日は私の勝ちね。」
そう言ってホッとしてるこの根暗女は…
「マカ、服、ぬごっか。」
「…え!?」
俺の妥協案にようやく気がついた様子。
END
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