[通常モード] [URL送信]
メインプレスでお買い物:1
・・・・・はぁ・・

試着ってつかれるなぁ・・・





「どうですか・・?」

「・・!っはい!!今開けます!」



ッシャ・・




「・・・・・・」


「・・・わあお、さっすがえーしろー」

「・・うじらーさん」

「ゆたさんばぁ、というか腹減ったー・・」





因みに上から、無言の木手さん、平古場くん、知念くん、田仁志くんである
私というとさっきからもう2時間は試着室から出ていない・・。



何故こんな事になっているんだろう・・
木手さんは無言で出てきた私をじろじろ見ては、何か思いついたように洋服を何着か取りに行って渡すといった行為を繰り返している。

因みに甲斐くんはふて腐れてご機嫌斜めの様子・・、多分木手さんとか平古場くんはこういうの詳しいけど自分は何にもできないから不満なんだと思う。

洋服なんてマネキン一式買っちゃおうと思ってたのに、木手さんが「着回すという言葉を知らないんですか・・。」って私に軽く説教をしだして今に至る訳なんだけど・・
しかし他の部員の人たちは何故ここに居るんだろう・・・・
せっかくの休みなんだから皆思い思いに一日を過ごせばいいのに・・、それは木手さんもだけど。


知念くんと田仁志くんは先ほどまで自分たちの買い物をしていたらしい
それでちょっと覗いてみようって私たちと合流したみたい・・でもそれは解る・・うん解るよ?だって用事のついでなんだから
でも木手さんと平古場くんは駅から一緒だったよね、甲斐くんは知ってたみたいだけど私はなんにも聞かされてない訳で
駅に着いたらしこたまオシャレな二人がキラキラしたオーラまとって話しかけて来た時にはもう・・もうそれは周りの女の人の目が気になった・・・・・。






駅までは甲斐くんと二人乗りというなんとも学生らしい手段で移動した、因みに今の所今日一番楽しかった時間だ
私二人乗りなんて初めて!って後ろで騒いでたら「ふらー!動くな!!危ないやっさろー!!」って怒鳴られたけれど・・でも楽しかった。


で、・・・今はコレ・・

木手さんの眉間のシワ・・・もう何回目だろう・・、メガネの奥の瞳が鋭く光ると木手さんはまた洋服を取りに戻った。

私の為にこんなに色々考えてくれるのはありがたいけれど・・正直もう限界・・。

「・・平古場くん・・・これいつまで続くんだと思う・・?」

「んー・・へとへとだなぁ?」

「・・笑わないでよ・・、もう・・試着って疲れるんだよ・・?全部買っちゃおうよー・・」

「わぁ・・出たお嬢様発言」


できるだけ、できるだけ弱音ははかないようにしてたんだけど、ちょっと疲れてますアピールが足らないのかと思ってそれとなく平古場くんに話しかけた・・、木手さんはマジモードだけど平古場くんさっきっから楽しそうに笑ってるだけだし・・。

でも気づいた・・平古場くん、嫌な意味で楽しんでるでしょ・・この状況・・。


「・・お嬢様じゃないってば・・誰情報なのそれ。」

「ゆーじろー。お前の事ばっか話してるぜ?主に愚痴だけど」

「・・っ!か、かいくん!?」

「裕次郎なら店の外のベンチで慧くんとクレープ食べに行ったやっさ。」(知

「・・・・〜っ!」


私がこんなに大変な思いしてるのに唯一の助け舟はお外でクレープですか!そうですか!
大体なに話してるの!?恥ずかしいじゃない!もう!しかも愚痴って!
ってゆうか私もお腹空いたよ!・・でもこんなにしてくれてる木手さんを止める事なんてできないよー・・



「・・はい、次はこれお願いします。」
「・・・えーしろー」


「・・?なんですか知念くん」


「苗字さんの顔見てみ、休憩なしで二時間ずっとこんな調子なんやっさろ・・?疲れちょると思わねーらん?」


「!!・・そうですね・・すみません夢中になってしまって・・まったく気が付きませんでした。私とした事が・・。」

「え!あ・・いや・・そんな私はしてもらってる訳な訳だから・・そんな・・・・えっと・・お腹ー・・空いちゃいました。」



もうこれしか言えない・・
苦笑いでフォローするように言ったけど、木手さんは申し訳なさそうな顔を止めてはくれなかった。
知念くん・・・ありがとう・・本当にありがとう、目でそう訴えたら伝わったみたいで優しく笑って返してくれる・・。
おっきいし怖い人だなぁって思ってたけど撤回します・・すっごい優しい人なんだ知念くん、じんわり感動した。


「・・・じゃあこれで最後って事で」

持ったままになってる洋服を木手さんから受け取る。


「・・貴女が」

「・・?」




「貴女が・・何を着ても似合うものですから・・つい・・迷ってしまって。」





ちょっと・・・・・・木手さんなに言ってるの・・え・・え・・・え・・・・
変な声出ちゃった・・恥ずかしい・・恥ずかしい・・恥ずかしい・・
平古場くんすっごいニヤニヤしてるし・・なんかムカつく・・・。

「・・そ・・・そんなぁ・・、あはは木手さんって女の子の扱い方じょーずなんですね」

明るくそう言って誤摩化したけれど・・・・・


ーーーーーーーッシャ!



っとカーテンを閉められて閉まった。


・・・言おうとは思ってなかったけどつい口から出ちゃいましたっていう事・・?
まぁ・・・・・・・・お洒落な木手さんに似合ってるって言われるのはー・・・うん、素直に嬉しい。


シャッ

「木手さん、ありがとうございます。」



閉められてしまったカーテンをちょっとだけ開けてそれだけ言うと、私はまた素早くカーテンを閉める

瞬間に見えた木手さんの顔は心なしか少し照れているようにも見えた。








「おたませー、終わったよ甲斐くん」



「しに遅いさあ!」

「クレープ1個かめー」

「ありがとう田仁志くん、でももうご飯食べに行こうと思ってるから・・」


両手に計5個クレープを抱えている田仁志くん・・・
私がご飯だから要らないって言うと、これはおやつだって返してきた、凄いなぁ。


「田仁志くんは何か食べたい物ある?」

「ばっ!おまそんな事慧くんに聞いたら・・」(甲




「や き に く ! !」




「・・・・・ほら見ぃ。慧くんはいつだって焼肉って答えるに決まってるさぁ・・」(甲



「私はいいけどー・・」

「わんもそれでいいやっさー」(平


目配せしたら平古場くんを中心に皆頷いていた、甲斐くんも焼肉嫌いじゃないだろうにどうして・・

今度は甲斐くんに目配せして同意を求める。



「・・・・・それ」


するとぶっきらぼうに私の着ている買ったばかりの服を顎で指した・・・
来る時はいつもの制服だったから、買ったばかりの服をそのまま着て出てきたのだ。
他にもたくさん買った物は紙袋に入れられ木手さんが殆ど持ってくれている。


「せっかく、に・・・似合ってる・・、のに・・・・焼肉なんか行ったら」



ああ・・そっか

「そうかな、ありがとう甲斐くん。」


煙りが服に着いちゃうって思ってくれたんだ。



「おう・・なかなかうじらーさんばぁよ、さっすが永四郎」


なんだかこそばゆいけど嬉しくって自然と笑顔になる。
甲斐くんはかわいいって言うのが恥ずかしかったみたいで、ごまかすように木手さんに絡んだ。


「・・・っまあ、服がいいんだろうけどよ」




・・・・・・・一言よけい・・前言撤回。









―――――――――――――――――――――――――――――



「や き に く や き に く !」

「・・田仁志クン・・・はしたないですよ、あまり騒がしくしないで下さい。」


「あー腹へったー」(平

「わんもー」(甲

「・・・牛レバー・・」(知


「食べ放題だけど食べれるだけにしなさいよ」


「はいでー!!」(田






・・・・・なんか凄い迫力だなぁ・・田仁志くん。


今日のお礼に私がご馳走するって言ったら、田仁志クンがいるので食べ放題にした方がいいと思いますって木手さんに言われたけど言う事聞いてよかったー・・。



焼くのが追いつかないもの・・。


「ん、苗字さんもかめー」

「あ、ありがとう知念くん。でも知念くんこそさっきからレバーしか食べてないけど・・」

「・・・永四郎が皿に乗せるんだばぁ・・」

「知念くんは鉄分不足ですから」


「・・・確かに顔色よくないかも」



「もともとこんな顔色やっさー」

ちょっとムッとした表情をする知念くん
むきになってカルビを頬張り始めたけどすぐにお腹いっぱいになってしまったらしい・・・。

少食だ・・だからこんなに細いのか




「くうどー!!」(甲

「かめーかめー!!」(田



・・・隣はまだまだ盛り上がってるみたいだけど・・。




「骨付きカルビうめー!!」


甲斐くん・・食べ方汚すぎ
全く木手さん呆れちゃってるじゃない、いつもこうなのかな・・。


「・・・甲斐くん、犬みたいだよ。」
それにしてもせめて箸を使って欲しい・・骨付きだからガツガツ食べにくいんだろうけど、素手で肉にかぶりつく姿はまるで犬の様だ。
前々からワンコっぽいとは思ってたけど・・


「なっ!失礼やっし!何さあ突然!!」

「ちゃんと箸使って食べてって言ってるの」

「はぁ?骨付きカルビを箸でとか難解過ぎるばぁよ」

「できるでしょ、人間なら」

「やー、最近わんの扱いがずさんさー・・」


「彼女の言う通りでしょ・・、全くこれじゃ時間の問題ですね・・」

「!!」(甲


ほら、木手さんだって


「・・・ぬ・・ぬーが時間の問題やっし!箸くらい使えるばあよ!!」

「・・?・・まあいいけどちゃんと噛んでね」

私も何が時間の問題なのかは解らないけど、きちんと食べ始めたからいいだろう。


それにしても田仁志くん・・・すさまじい・・







「ありがとうございましたー」




ふう・・お腹いっぱい・・食べ放題ってついつい食べ過ぎちゃってやだやだ

「「くゎっちーさびたん」」(平・知

  どんっ!

「っわ!・・なに・・?」

「ごちそう様って事、沖縄弁」(平

「凛はあんまりうちなーぐちは使わないやしが」(知


私が会計を済ませレシートを財布にしまっていると、二人が後ろから私の肩を軽く叩いてきたのだ。ちょっとびっくりした・・


「麻倉・・!」(甲

「わ!・・ああ、甲斐くんなに?」

「何じゃありませんよ・・いいって言ったのにどうして」

「ああ、いやいや大丈夫ですから気持ち気持ち」

へへへ・・っと誤摩化すように笑って二人から逃げ、お店を出た平古場くん達を追う。

・・実を言うと私がこっそり会計を済ませちゃったんだけど
それをよろしいとしなかった木手さんと甲斐くんが困った顔をしている訳だ

・・・別にいいのにこのくらい


「くゎっちーさびたん」(田


「あ、田仁志くん。沢山食べたね、満足した?」

「おうよ!まだまだ入るさぁー!!」

「あはははっ!凄い!!お店の人青い顔してたもんね!」


田仁志くんは凄い食べっぷりだったもんねー・・
こっちまでお腹いっぱいになっちゃったよ。



「次はどこ行くさあ?」(平

「ゲーセンゲーセン!!」(甲

「その前に、部で使うものを新調しなければならないでしょ・・まずはスポーツ用品店ね。」



少々お付き合いしていただいて宜しいですか・・?って木手さんに言われて返す言葉は一つしか無かった
これだけ私に付き合わせておいて嫌だなんていえないでしょう・・。









20110107

[*][Next#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!