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さっそく、ミネルバと美和は準備をして鞄を背負う。
ある程度の調剤の道具を借りて、薬草と既に調剤を済ませてある錠剤などの薬を持った美和と、調味料やら最低限の器具を持ったミネルバさん。
歩いて3時間の道程を通って、ジャングルを抜ける。道中、やっぱりおっきな虎に会ったけどミネルバさんが倒しました。しかも、乗っけてもらえて道中楽だったのです。初めて虎に乗るという経験をしましたが、全身筋肉って感じでけれど硬いわけでもなく素敵でした。

途中、図鑑を片手に薬草を摘みました。凄い貴重な薬草で使用方法を間違うと麻薬にも為り得るモノなのだけれど、薬は毒と紙一重なのだ。貴重な薬草も摘んで、結構な量になってしまったけれど虎さんが運んでくれるのでありがたかった。なんだかんだで虎さんとも仲良くなって、途中色々な場所を通ってくれた。岩場の合間に綺麗な泉が合ったり、洞窟の入り口だったり、ジャングルを知っているからこそ見つけられる代物だ。

「セノーテ…っ!凄い綺麗」
「あらー、水も確保しとこうかしら」

時間には問題ないし、とミネルバさんはスタッと虎から降り立って大きな皮袋に水分を確保するために泉へ近付く。石灰岩地帯で、洞窟の空洞に地下水が溜まった天然の巨大井戸である。とても綺麗な水なので透明度が半端なかった。底まで見えているけれど、潜ったら凄い深さだろう。鍾乳洞も水没しているが、太陽が反射してとてもキラキラと輝いている。

マヤ文明やインダス文明など、歴代の文明の中で洞窟やセノーテなどは黄泉へ繋がる聖なるものと考えられていたとされる。実際には見た事がなかったけれど、雄大さに圧倒される。美和は、虎から降りてキラキラ反射する水面を見詰めて胸がときめいた。
まだまだ知らないことばかりだし、世界は未知に溢れているんだ。
美和はミネルバを手伝って皮袋に水を掬う。水は冷たいしとても美味しかった。


そんなこんなでジャングルを歩くのは初めてだった美和は、船に残ったみんなの事を思う。出発前に、水晶髑髏のフィンはローくんが管理するとのこと。もちろん、フィンは凄い嫌がったのだけれど、敵の手中に行くのにわざわざ水晶髑髏を持っていくのも危険なのだ。しぶしぶだけれど納得してくれたフィンは、他の神様と交信して経緯を話してくれるそうだ。普段は力を使い過ぎるので遣らないそうだが、まだ中央の神殿に行くにも時間が掛かるだろうからとやってくれるそうだ。どうやら、3日間は意識を閉ざしてしまうらしい。申し訳ないけど、他の神様も状況を把握しているのに越した事はない。

ちなみに、ベポも行きたがったが目立ってしまうので待期組みになってしまった。まぁ慣れたクルーたちなら何も違和感を感じないが、一般のヒトは熊が二足歩行で喋っていたらまず驚く。悲鳴を上げるかもしくは倒れるか、どちらにせよ衰弱している人達に会うには適さないということでお留守番だ。「美和、気をつけてね!」と涙ながらに言われた。うん、ベポは可愛いなーと和んだのは言うまでもない。


結構大荷物になったけれど虎の力強さは変わらず、村の近辺まで来た。
たぶん、この辺りだろうが迂闊に動き回れば敵に見つかったら大変だ。しかし、気配でミネルバさんは辺りに怪しいヒトはいないから大丈夫との事。武術の達人とかは気配など感じ取れるって奴なのかな。感覚は良く分からないけど、美和は凄いなと圧倒されっぱなしだった。

「ミネルバさん、この辺かな?」
「そうでしょうね、虎、ありがとう。此処までで良いわ」
「ふふふ、助かったよありがとう虎さん!」

美和はお世話になった虎の耳や首を撫でるとガルル、と気持ち良さそうに耳を垂らしたのを見て微笑ましくなる。数回、尻尾を振って虎と別れ、荷物を地べたに置く。
ちょうど其処でがさり、と草木が掻き分けられた。吃驚して飛び跳ねたわたしとは違って、ミネルバさんは笑顔を浮かべている。


「はぁーい、ご指名されたから飛んできたわ、ペンギン!」


美和はペンギンを視界に捕らえて、だーっと駆け寄って飛び付いた。
吃驚しつつもペンギンくんは美和を抱き止めて、ぐしゃりと頭を撫でた。


「ペンギンくん!元気そうで良かった!」
「はは、当たり前だろう美和。立ち話は後だ、案内する」






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