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自室で着替えて、持っていた洗濯物を途中洗濯室に置いて甲板に向う。
朝日は昇っていて、湖畔でごろ寝していたみんなも起き始めた様だ。タフだなーと思う。
「おはよう」
大きな声で挨拶すると、みんなからも返ってくる。
明日以降サバイバルが始まるなら、今のうちに洗濯しちゃうからと声を掛けるとみんなから了解、と返事がある。のそのそ動いてみんなお風呂に言ってくるわーと船内に戻ってくる。

「あれ、今日はつなぎじゃないのなー!」
「だって、流石にどろどろになっちゃったから洗濯しないと!それにせっかく買ってくれたんだもの、こっちも着ないと!」
えへへ、とちょっと照れくさくて俯き加減に視線を下げる。別に、普通のTシャツにロールアップジーンズなんだけど、みんなとはつなぎでしか会っていないのでくすぐったい。似合ってるぞーとお世辞にも言われると照れる。胸元のしるしは隠れるし、大丈夫だろう。

「みんなシャワー浴びちゃってね!洗濯物籠に置いといていいからー」

はにかんで笑って、みんなの横をすれ違いに渡る。一人で湖畔に下りて、空き瓶や樽を片付ける。
何往復かして湖畔は綺麗になった。ちょっと遅くなったけれど、急いで厨房へ向う。


「ミネルバさんごめんなさい!遅くなっちゃった!」
「いいわよー、片付け有難う!あら、今日つなぎじゃないのね、似合うわよ美和ちゃん」

ウィンクしてくれるミネルバさんは今日は白いフリルのエプロンだった。うん、ミネルバさんのほうが何倍も美人だ!わたしはうっとりしながらも手早く手を洗ってからサラダ用の野菜を洗う。いつもの如く大量のサラダを作ってから、パン生地を捏ねる。今日はパンで、大量のベーコンエッグを焼いているミネルバさん。続々とさっぱりとしたみんなが食堂に入ってきた。みんなもつなぎじゃなく、ラフな格好だ。カッコイイ集団である。
スタイルがいいとTシャツとジーパンだけでも様になっている。

「おー、美味そう」
「風呂ついでに汚れ落して洗濯機に回しといたぞー!入りきんなかった分は桶に入れてあるから」
「わぁ、ありがとう!」
 
風呂から出てミントのいいにおいのみんながなんと各自汚れを落して洗濯物を回してくれたらしい。お礼を言いながらテーブルにサラダとベーコンエッグを運ぶ。飲み物は各自セルフで準備してくれる。
美和はパンが焼ける音がして、キッチンに入る。香ばしくいいにおいがして、オーブンを開けるとふっくらしたパンが並んでいる。うん、美味しそうにできた。
バケットにパンを入れて、第二段の生地もオーブンに入れる。大きなオーブンだからいっぱい出来るんだけど、たぶん食べ終わっちゃうから予備用だ。時間帯がずれる人の分もちゃんと確保もしてあるし、準備万端だ。

出来立てのポタージュも配ってキッチンは一段落だ。
ミネルバさんとふたりで席に付いてパンを頬張る。うん、出来立てが一番美味しい。
「美和ちゃん、上達したわ!美味しい!」
「先生が上手だからだよ!」
ふたりで笑いながら朝食をとる。綺麗に食べてくれたみんなお皿を片付けてくれる。
船は停泊しているから、やることがないのでみんな甲板掃除や艦内、洗濯を分担して行うことになった。

美和はキッチンを片付けた後、洗濯班にまわる。大人数でやると直ぐ片がついてしまうので楽チンだった。ちなみに、ローくんは3時間位で起きてきた。もっと寝てれば良いのに、3時間で十分らしい。洗濯もみんながやってくれるから、わたしはローくんのおさんどんに廻る。ローくんは、白いシャツに黒い前開きの七分丈のパーカーを着ている。ズボンは濃い色合いのカーゴパンツだ。ジャングルの亜熱帯気候は暑いらしく帽子は部屋に置いて来たようだ。シンプルだけど何着ても似合うなーと見蕩れる。
おっといけない、仕度しなきゃ。

キッチンのカウンターに座ったローくんに、サラダとベーコンエッグを出す。パンとスープも温めてテーブルに置くとローくんは黙々と食べ始めた。
こんなに細い身体によく入るなーという量を食べて満腹になったようだ。

「美味かった」
「ふふふ、良かったです」

食後のコーヒーを出して、時計を見る。
ミネルバさんは食材庫にいっているのだが、帰って来ない。たぶん整理整頓を始めちゃったんだろうなーと思う。みんなの食を管理する立場だから、結構厳しい目を持っているミネルバさんは、本当に凄い。これからサバイバル、となると食材の日持ちやら確認したいことがいっぱいだろう。

上陸して、今日で4日目だ。
総てを見た訳ではないけれど、みんなワクワクしているのが一緒に居て分かる。
もちろん、ローくんも楽しそうだ。敵は未知数、たぶん数日内にぶつかるだろうが正面から堂々と殴りこむのだろうか。それとも、偵察して隙を突いて奪うのか。けれども、追われるの面倒くさいといいそうだ。

どちらにせよ自分は戦いに出れないけれど、足手纏いにならないように隠れないと。美和が捕まってはややこしくなるのだから。
それに、原住民がやつれた様子で敵の支配下にあるのも気になる。そのまま戦えば被害が大きくなってしまうだろう。

「ローくん、これからどうするの?」
食器を洗いながら、ローくんに問う。カップを口元に運んで視線だけちらりと美和を見る。ニッと笑って何も教えてくれなかった。良いけどさ、何か考えがありそうだもの。
みんな揃ってから、説明だろうし…あれ、そういえばシャチくんとペンギンくんがいませんが、どうしたのでしょうか。


(キャプテン、知ってる?)
(…さぁな)

ぜったい知ってる!!



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あきゅろす。
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