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ぴ。




クリスタルスカルもとい、フィンという神様は毎晩わたしの夢に出てきました。
ローくんにご立腹なのは分かるけど、わたしにローくんへの伝言板を頼まないで欲しい。言わなければ言わないで神様は怒って、わたしの心臓を握りつぶす勢いで痛みを与えてくるし、恐々神様の言葉をローくんに伝えると、意地悪くこう言うんです。


「別にいい。文句があるならおまえを犯し「ぎゃああああ」…五月蠅い」
「勘弁して下さいお願いですわたしを巻き込まないで下さい」


もう、土下座の勢いで床に崩れ落ちローくんの足元に縋るのだけど、彼はわたしを見下ろして素っ気なく言うんです。

「おれに言うな。首に言え」

条件を飲んでやっただけ奇跡と思え、と言い切りました。
これがほぼ毎日の日課に成りつつあり美和は中間管理職の方の苦労を思い知りました。
悪魔のような二人に囲まれて、美和は夢でも休めず日に日に廃れていった。


「だいじょうぶ?美和―」

心配そうなベポにわたしは、本当にわっと泣いた。寝ても覚めても悪魔がいるのだ。しかも二人もドS属性で手に負えない。わたしの心休まる時はベポの傍に居る時だけだ。

「うわあああああん、ベポ!大好き!」

わたしはベポに抱き着いてくすんと涙を流す。ベポはそんなわたしを抱っこしてくれて良い子良い子と頭をなでなでしてくれる。ううう、本当にベポに癒される。このままじゃ不眠症になる。美和はあの夜から、散々な日々を送ってきた。悪魔のようなローくんに痺れた足を鷲掴みにされ、揚句に朝まで正座させられるのエンドレス…気を失ったわたしに、夢で待っていたのは憤った神様。人間の癖に生意気と酷くご立腹の神様はわたしを仲介役に使ってローくんに喧嘩を売る毎日。言わなければ言わないで心臓を鷲掴みにされるような痛みを与えられ、ローくんに伝達しても目で殺すと云わんばかりに睨まれて弄られる。本当に夜も昼も関係なくわたしを通した喧嘩を止めてほしい。


無情に月日は留まることなく進むものだ。げっそりやつれたわたしは、筋トレを倒れそうになりながら毎日遣り切った。本当に誰かに褒めてもらいたい。
しかも、わたしはどうやらローくんに上半身を見られてしまった様だ。流石に子供の頃と違って羞恥心だってあるのだ。もう、泣きそうになりながらローくんに訴えると、「首につけいれられる奴が悪い」と一蹴されてしまいました。え、これわたしが悪いの。やりきれない気持ちをシャチくんに聞いてもらったら、これまた失礼なことを言われた。

「別に減るほどないんだから気にすんな!」

本気で美和はデリカシーのない励ましを受けた。これは励まされているんじゃなく貶されている。わたしはシャチくんにも上半身を見られてしまったのか。もう、言葉も出ないほどショックを受けているとペンギンくんは無駄なフォーローをくれた。

「大丈夫、全部見たのは船長だけだから。おれたちは少しだけだ」

大丈夫じゃない。それは大丈夫といえない。わたしは心にも深い傷を負った。お嫁にいけない。好きな人さえまだいないのに、もうわたしの味方はベポしかいなかった。

大好きなミネルバさんは揉めば大きくなるわよ、と変なアドバイスをくれた。違う、別に胸の大きさで悩んでるんじゃないのに。ミネルバさんに悩みが胸だと思われて多大なショックを受ける。確かに小さいけど、ひとの胸なんだし気にしないで欲しい。っていうか皆の記憶を抹殺したい。


「ベポー、胸ってオッキイほうがいいの?」
「えー?ふふふ、おれは別に何でもいいよ。主人公柔らかくて大好き!」
「ベポ!!わたしと結婚して!!」
「ええー、メスの熊がいいなー」
「――(ガーン)!!!!」


ベポにまで振られたわたしはスゴスゴといじける。いいもん、別に。恋なんてしなくたって生きてこれたんだからこのまま生き抜いてやる。


何だかんだで気候は安定し、マヨル島の海域に入って3日目。
湿気が多く、スコールのような雨も降る。基本熱帯の地域の様だ。一人の船員が、皆に声を掛ける。



「島が見えたぞ!」


黄金探し、スタート。



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