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ぜ。



まずは一番近い大部屋に向かう。大部屋と云っても4人部屋が並んでいるのだが、一つずつノックして船員を起こした。

「おはようございます!朝ですよー」

ほとんどが第一声悲鳴って、別に起こしただけなのに。皆から悲鳴で起きるからーと叫ばれてしぶしぶ部屋をでるの繰り返しだ。なんだ、美和の顔に何か文句があるのか。結構凹んで、最後の方シャチくんの部屋ではノックも小さくなってしまった。返事がなくて、部屋に入るとシャチくんは二段ベッドの上の様だ。足が柵からはみ出している。つまり、下がペンギンくんのベッドなんだな。


「シャチくーん、朝だよ。起きて!」


扉の前で声を掛けても返答はない。ぐっすりという感じで寝息が聞こえる。
溜息を吐いて、美和は梯子に手を掛けた。一段二段上って顔だけひょこりと出す。キャスケット帽がなく、サングラスも外されていた。シャチくんって可愛い顔している。涎が垂れているけど。


「シャチくん、シャチくーん?」


手を伸ばして、肩を揺する。ううーんと眼を瞬かせて、欠伸をしてわたしを見て固まった。


「おはよう、シャチくん。朝だよ」


にっこり笑ったら案の定悲鳴を上げられた。シャチくん酷い、わたしの顔皆より見慣れてるくせに。美和は被害者の様にベッドの端に毛布ごと後ずさったシャチにじと眼を向けた。


「なんなのさみんなして!もう、ミネルバさんがご飯作ってくれたから、支度したら食堂来てね!」


美和の気迫にシャチくんはおう、とだけ言った。毛布を抱きしめたシャチくんに扉を閉めようとした美和は、あ、と止まった。船員みんなにいったありがとうを伝えて、部屋を出る。
最後はローくんだ。もう、とっくに起きてるし支度も出来てると思うんだけど、扉を前に首を傾げた。ノックをして返事が無いから、恐る恐る扉を開けた。そうしたら、ソファーに座って本を読んでいた。あの島で調達した本の一部だ。


「…キャプテン、ご飯だよ」


扉から顔を出した侭の美和に、視線だけ向けてローくんは本を閉じた。ラフな黒の七分のTシャツにジーンズ姿のローくんは立ち上がる。良かった、ローくんは悲鳴を上げない。
ほっと息を吐いたら、可笑しそうにローくんは笑った。


「なんだ」
「…いや、朝みんな起こしに行ったら叫ばれちゃって」
「……」


廊下を一緒に並んで食堂に向かう。無言のローくんは、良く分からないフォロー?をくれた。男所帯なんだから、赦せと。どういうことだ、わたしは良く分からないが、とりあえず頷いといた。突撃したのはわたしだし、まぁみんな時間が経てば慣れてくれるだろう。



(キャプテン、わたしのかお怖い?)
(――…馬鹿だろおまえ)

ローくんは真剣にわたしを貶しました。ヒドイ。




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あきゅろす。
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