anemone
courage
通行人Aが泣いてるのを見た日から、数日。アイツは部活にも来ないし、俺とすれ違っても、挨拶さえしなくなった。
ー8話ー
「…」
「お、おーい。グリーン?」
「…なんだ」
「(と、棘があるなぁ…)あのさ、なんでそんなにイライラしてんだよー」
「…イライラしてない。」
「してるだろ」
「お前には関係ないだろ、レッド。」
「(かなり頭にきてんなぁ)」
イライラするというか、腹が立つ。期待させるようなことしといて、このタイミングでスルーか。後輩のくせにいい度胸してるぞ。
「グリーンいいこと教えてほしいか?」
「…いいことだと?」
「うん。今の気持ちをなんとかする方法。」
「…何だ?」
「…いい加減告れよ」
「…」
「このままじゃ、通行人Aちゃんが苦しいだけだ。」
「…何でお前がそんなことを自信を持って言えるんだ?」
「…あの子が好きなら、自分で気づくべきだぜ。」
「…わかってる」
きっと何か理由がある。そうレッドは言いたいらしい。しかも、第三者が言うのではなく、俺自信が気づかないといけない、なにか。
…それをレッドが知っているというのも癪なんだが。
「ま、頑張れよ、グリーン」
「お前に言われる筋合いはないな」
「あっそ」
そう言ったレッドはどこか嬉しそうな顔をしていた。
「う、うぅぅ」
「あー…通行人A、そんなに泣かないの。」
「もう、僕の人生はむちゃくちゃだぁ…」
「だからさ、グリーン先輩、諦めたら?」
「そ、それが無理なんだよー!!」
「…すきなの?」
「すき。でも、けっこう、挨拶とかしないですれ違ったりしちゃった…。」
「き、気にしないほうが、」
「き、嫌われちゃってるよね…」
話もしたいし、また、一緒に登校したい。あの人から離れるなんて、嫌だ。怖いことをされたくないのに、まだ好きだなんて、おかしいけど、それくらいグリーン先輩が好きなんだ。
それをレッドさんは黙って聞いてくれて、ただ一言、大丈夫だと言ってくれた。…あの人がお兄ちゃんだったらいいのにってちょっと思う。
「通行人A。」
「なに?」
「そんなに好きだったら、怖がる必要、ないと思うよ。上級生の嫌がらせに挑んでみるべきだと私は思う。」
「そ、そんなぁ」
「じゃないと、いつまでたっても、進めないよ。」
「う…」
「それでも、いいの?」
「…よく、ない」
「でしょ?」
「…うん」
(ちゃらららん♪)
そこでいきなり、ケータイが鳴る。なんだ?誰だろ。
「…グリーン、先輩?」
先輩からのメール。僕、メルアド教えた覚えはないけど。
ー今から会いたいー
そのとき胸がキュンって苦しくなった。先輩。グリーン先輩、僕も会いたいです。
ー僕も、会いたいですー
そうケータイに打ち込んで、メールを送った。
ーどこで会う?ー
ーグリーン先輩の家に行っていいですか?ー
ーじゃあ、門の前で待っててくれ。ー
そこでパタンとケータイを閉じる。
「…今日は部活なかったんだっけ。」
「どしたの?」
「ううん。なんでもないよ。じゃぁ、僕、帰るね」
「…頑張って」
「僕は戦うよ。絶対負けない。」
そう決めた。もう、逃げない。レッドさん、ありがとうございます。アナタがあそこにいたから、安心できた。友達にも感謝してる。戦う勇気をくれた。
あとは僕次第だ!!
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