anemone ページ:12 「…なんでこんなことに…」 -最終話- はい、こんにちは!!通行人Aです!!え?今どんな状況にいるかって?うーん、僕もなんて説明したらいいのかわからないけど…しいて言うなら、 「ここはどこ…?」 そう、知らない場所にいるってことかな。…なんでこんなことになったんだろ…。 「あ、目覚めました?」 「えーっと…ここは…」 「車ですよ。車。」 「…なんで僕は車に…」 「えーっと…それは、僕らが拉致ったからです」 「…はい?」 なにを言うんだろうか、この帽子っ子は。 「ルビー、拉致じゃないと!!誘拐ったい!!」 「あー、まあそれでもいいかな。ダイゴさーん。もっとスピード上げないと間に合いませーん」 「はいはい、わかったよ」 …本当になんなんだ、この人達…。とりあえず、誘拐とか言ってたけど、僕を誘拐してメリットなんかあるのかな…。メリットよりもデメリットの方があると思うけどなぁ…。 「てゆーかさ、今日何の日かあんた覚えてんの?」 「え?…覚えてない、けど。」 次はクロワッサンのような…不思議な髪型をした男の子に聞かれた。…てゆうか、なんなんだ、この3人と運転手…。 「…だめだな、こいつ」 「エメラルド、それは言ったら駄目だよ」 「…あの人達に聞かれたらただじゃすまないったい」 「…そーだな」 「えーっと…?」 「あ、なにも気にしないでくださいね。ただ、僕たちの言うとおりにしてくれればいいですから。」 「はあ…」 え、本気で僕ってば誘拐されてる?いやいや、まさか!!こんな変な人達に…ま、まさか…。 「…」 「あ、黙った。」 「ダイゴさーん、なんか泣きそうになってるとよー。どげんすればいい?」 「あー、…うん、放置するべきだと思うよ。もうすぐ目的の場所につくし。」 「わかりましたー」 「んじゃ、俺らが合図するまでこれしとけよ」 「…目隠し?」 「そ。」 こ、これマジだ!!!!!本気で僕危ないよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!グリーン先輩!!助けてぇぇぇぇええええぇ!! 「…はい、到着」 「足元気をつけてくださいね」 「あ、ゴールドさん、ここからお願いします!」 「よっしゃ!後はまかせとけ!」 「え?え?え?」 「俺の手ちゃんと持っててくださいよ。」 「ちょ、」 「ほら、ちゃんと歩く!!」 「は、はいぃぃぃ!!!!」 ドアが開く音がする。…た、建物に監禁するつもりなのかな…。 「じゃ、しばらく待っててほしいッス」 「えええええぇぇぇぇ」 なんで放置されないといけないんだ…。 「もう、なんなんだよー。目は開けないし、自分で目隠し取ってもいいけど、そんなに器用じゃないし…あげくのはてに放置だし!!なんと言っても、放置だし!!…むぐ」 そんなことを言っていると、いきなり口を大きな手で塞がれた。 「む!?」 「…」 僕の口を塞いでいる人は目隠しも取ってくれている。な、なんなんだ…。 「む、むぐぐ、ぐ!!!」 「…少しは静かにできないのか」 「!?」 その声は… 「本当に昔から変わらないな」 そう言って、やっと目隠しがとられた。そして、バッっと後ろを振り向くと 「グリーン先輩!!!!!…今日は用事があるって…」 「…そうだ。用事があったんだよ。もう終わったけどな」 「?」 僕は落ち着いて周りを見る。 「…教会…?」 「あぁ」 「なんで…」 「今日」 「?」 「…通行人Aの誕生日」 「あー…」 「忘れてただろ」 「まぁ…はい。」 「やっぱり」 「グリーン先輩、僕誕生日なのになんでここに…?」 「…誕生日だから、だ」 「え…?」 「…これ」 「…ゆ、びわ?」 「…通行人A、」 「え?」 グリーン先輩はアネモネの花と、指輪を僕に渡した。 「結婚してくれ」 「…もちろんです」 これからも、ずっと一緒に。 |