甘い夜
そろそろ寝るかな……
愛読書を閉じ、布団に潜り込む。
明日は何時集合だったかな、そんな事を考えたところでどうせ遅刻するくせに。と自嘲しながら目を閉じると、窓の外に僅かな気配を感じた。
殺気でないところからすると、敵ではないみたいだね。
それに安心はしたものの、こんな時間に一体何の用なのか。
気配を探ってみれば、普段ならこの時間はもう寝ているはずの部下のものだった。
甘い夜
「なーにしてんの、出てきなさい。」
窓を開けて声をかければ、そこには悔しそうなナルトの姿。
「何してんのよ、そんなところで。」
「いつもの仕返しだってば!ま、失敗しちまったけど。」
口を尖らして、そっぽ向きながら文句をたれる姿に自然と頬が緩む。
どうやら、いつもいきなり窓から現れる俺を真似して、ナルトは俺を驚かしに来たようだった。
「俺を驚かせようなんて100年早いよ。」
就寝しようとしていた矢先にこんな事されれば、本当は不機嫌になるところだろうが、押しかけてきた相手はナルト。
頬が緩むのも無理はない。
なんでかって?
俺が密かに想いを寄せてる相手だから。
一回り以上も離れた部下に、恋心を抱いてしまった事に気づいた時はさすがに狼狽えたが、事実を受け止めれば楽なもので、一楽に誘ってみたり、野菜を口実に家に押しかけたりと、アピールしている。
だからこうして、俺を驚かせるために会いにきたって言うんだから、嬉しくて眠気なんて吹っ飛んでしまう。
だってナルトの中にちゃんと俺がいるって事でしょ?
"三十路男の健気な努力の成果"
そう思わずにはいられない。
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