嘘からでた誠-21
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「ナルト達が出ていってから、もう随分経ちますね…」
ふいにサクラが呟いた。
「……そうだね。もう一年、か。」
ナルト達が長期任務で里を出てから1年が経った。
班員であるナルトとサイが無期限の長期任務を命じられたということはカカシ班は事実上の解散かな、と残されたカカシやサクラは考えたのだが綱手にその気はないらしく。
二人が帰ってくるまでの間、サクラは医療班の手伝いをしながら医療忍術の腕を磨き、カカシは上忍として単独忍務をこなしながら暗部としての任務をこなす日々が続いていた。
そして時々今日のようにカカシとサクラの二人でカカシ班として任務を与えられる。
まぁ、任務といってもほとんどが綱手の雑用みたいなもの。
今日は今日とて、次から次へと積まれた書類の山から急に必要となった大事な書類を探し出せ、とのこと。
常日頃から整理整頓していれば、それ以前にちゃんと仕事をこなしていればこんな事態にはならなくて済んだのではないだろうか?
部屋一面に広がる書類の山を見て二人溜め息をつきながらそんな事を思うのは当然のことだと思う。
だからと言って綱手本人に意見できるわけもなく、二人は気乗りしない身体に鞭打って、終わりの見えない任務に取りかかった。
静かな部屋に紙切れを捲る無機質な音がやけに響く。
「…何もあたし達にまで黙って行かなくてもいいと思いません?」
「うん、ほんとにね。」
さして弾むことのない二人の会話。
だけどお互いの胸のうちは手に取るようにわかる。
心にぽっかり穴があいた様な、なんだか物足りない。
たぶん二人ともそんな気分で、サクラはそれを寂しいと例えるんだろう。
俺は?
………腹立たしい、それがしっくりくるかもしれない。
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