嘘からでた誠-17
「…カカシ先生も入るってば?」
「いや、遠慮しとくよ。」
「ふーん…。」
じゃあ何故こっちに来たのか、そう不思議に思いつつもカカシが自分のように川へ入ってはしゃぐわけないことなどわかりきっている。
それにカカシが何を考えているかわからない、なんて今に始まったことじゃない。
気にすることはないな、とカカシに背を向け冷たい水に頭でも突っ込もうと腰をかがめようとした矢先にカカシが口を開いた。
「…ナルト、シカマルと付き合ってるの?」
「え……、は!?」
思いもよらないカカシの問いかけにビクッと身体が反応し危うく足を滑らしそうになる。
「見ちゃったんだよね、オマエとシカマルがキスしてるところ。」
体制を立て直したばかりなのに、続けられたカカシの言葉にまた動揺し、今度は勢いよく尻餅をついた。
パンツはびしょびしょ、あの勘違いのキスを寄りによってカカシに見られた…、最悪な気分のナルトはゆっくりと重い腰をあげパンツの裾を掴み水を絞る。
「や、別にそれをどうこう言うつもりはないんだよ?俺には関係ないし。ただ付き合ってるのかなぁって確かめたかっただけ。」
"俺には関係ない"
その言葉が胸を締め付ける。
俺が誰と付き合おうが先生には関係ない。
その通りだけど……、胸が苦しいってばよ。
いくら嘘をはいてみても、奥底にある真実は残ったまま。
何かの拍子にこうして顔を出しては自身を傷つける。
痛みしか与えない真実なんていらない。
なのにいつまでたっても消えてくれない。
まるでコレは身体の一部だとでもいうように深く絡みついて離れない。
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