嘘からでた誠-14
すると今度は何やら口論しだした二人。
いや、口論と言うよりは冷静に何かを伝えるシカマルにナルトが嫌だ、と抗議しているといったところ。
シカマルはナルトの好意を受け取らなかったのだろうか。
………ナルト、振られたの?
何だか酷く安心した。
それが何故かなんて気づくはずもないが、二人の関係が一方通行なのがわかればもうここに用はない。
視線の先にはシカマルに背を向けて走るナルトの姿。
俺もそろそろ行きますか、と腰をあげたその時ナルトの足が止まった。
振り向いたかと思えば、ナルトはシカマルに勢い良く抱きついた。
"やっぱオマエ、最高だってば!大好きだってばよ!!"
さっきまで口の動きを読む事すら困難だったこの距離までもに聞こえる大きな声でそう叫びながら。
ねぇ、ナルト。
俺は何でこんなに胸が苦しいんだろうね。
"大好き"って言いながら抱きつくとこなんてさ、もう何回も見てるはずなのに。
なんでこんなにも苛立つんだろう。
振られたんじゃなかったの?
……振られてしまえばよかったのに。
あぁ、わかった。
なんでこんな感情になるのか。
オマエが幸せになるのが許せないんだ。
オマエは恋愛にうつつ抜かしてる場合じゃないんだよ。
約束したでしょ?
サスケを連れ戻す、って。
ねぇ、だから早く連れてきてよ。
俺の元に"サスケ"を。
それからにして、幸せになるのは。
俺が、幸せになってからにしてよ。
嘘に嘘を重ね続けた者は、真実をも嘘にする。
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