嘘からでた誠-07
ナルトはもう俺を好きじゃないらしい。
ナルトに好意を抱いてるらしい女達がそう話しているのを偶然聞いた。
正直ホッとした。
別れを切り出したのは向こう。
ナルトをサスケの変わりにしていた俺が言うのもなんだが
好きだけど、別れる。なんて後味が悪い。
俺達はこれから嫌でも任務で顔を合わすんだから。
ナルトがもう俺を好きじゃないのなら前みたいにただの上司と部下に戻れる。
実際、別れてから数日経ったが、ナルトは以前と何も変わらない。
遅刻する俺にサクラと二人で説教して、任務内容が簡単すぎる!と文句を垂れて、修行に付き合え!とせがんできて断れば拗ねる。
本当に何も変わらない。
頑張ったな、と頭を撫でてやれば嬉しそうに笑って、一楽に誘ってやれば目を輝かせて抱きついてきて。
本当に、本当に何も変わらない。
二人で過ごしたあの日々が
まるで存在しなかったかのように。
それならそれでいい。
所詮、偽りの関係。
幸せなんてありゃしない。
ナルトにサスケを重ねてみたところで、夢がさめれば虚しいだけ。
嘘でできた作りものの幸せは、蓋を開ければ不幸せ。
ナルトだってそれに気づいたから別れを切り出したんだろう。
嘘で固めた俺に気づき、愛想を尽かしたんだ。
きっと。
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