嘘からでた誠-06
「あんたカカシ先生と別れたんだって?」
いつも通り時間になっても現れないカカシを待っている中、サクラはナルトに耳打ちをした。
いつ現れるかわからないカカシを気にしたのだろう。
「情報早いんだってばね。」
昨日別れを告げたばかりなのにもう広まっているのか、とナルトは苦笑いする。
「里中がこの話題で持ちきりよ。」
誰が聞いてるわけでもないが、小声で話すサクラにやっぱり気遣いができる良い子だな、なんて感心する。
「へー。」
気のない返事をしたナルトにサクラは怪訝そうに眉をひそめた。
「大丈夫なの……?」
「何がだってば?」
「いや…その、ね?振られたって聞いたんだけど…。」
「……。」
……噂ってのは凄い。
一応、別れを告げたのは自分なんだけど。
あぁでも、俺は最初から振られていたのと同じだった。
「振られたっつーか、なんつーか……お互いやっぱり違うかっただけだってば!その事を言い出せない俺にカカシ先生が言ってくれただけ。…ってソレってやっぱり俺、振られた事になるってばね!」
ニシシッといつものナルトらしい笑みを浮かべれば、心配するほどでもないみたいね、とサクラは胸をなで下ろした。
先生?
こー言えば、先生は悪者にならないよな?
先生が俺を振ったって事にしても良いんだけど、サクラちゃんにそれを言えば必ず理由を聞かれる。
最初から俺を好きじゃなかった、なんて本当の事を言えばサクラちゃんは怒るだろうし。
他に、良い嘘が浮かばないんだってば。
だけど先生程の人がこんな俺に振られた、なんてカッコ悪い思いもしてほしくない。
俺は何を言われようが構わないけど、先生が悪く思われるのは嫌だから。
だから、こう言う事にしておくってば。
俺、間違ってないよな?
あなたの為に嘘つきになった俺の、一番最初の嘘でした。
[←][→]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!