嘘からでた誠-04 「嫌、だ。」 そう言うなり、俺の手を掴む。 やっぱりあなたは嘘が上手い。 あなたが俺と離れる事を嫌がるわけがない。 だってあなたが好きなのは俺じゃないんだから。 一瞬でも揺らいだ自分がバカらしい。 先生、もう嘘つかないでいいんだってばよ。 「先生、俺さ。」 俺の手を掴んだ先生の手に、もう片方の手を重ねる。 「嘘は嫌いだってば。」 曲がったことは嫌い。 「でも、先生の嘘は好きだったってばよ。」 「ナ…ルト?」 先生の顔色が変わる。 「俺、修行頑張るってば。頑張って、強くなって、そんで……」 重ねた手にギュッと力を入れる。 「そんでサスケを連れ戻してみせるってば!」 驚きで見開かれた先生の目をみながら、ゆっくりと重ねられた手を解く。 「先生、俺はサスケじゃないってばよ?」 固まったまま動かない先生を残し、一人外にでた。 嘘に嘘を重ねて、騙し騙し保たれたこの関係を終わらせたのはあなたでした。 "……サ、スケっ………" 偽りの行為の中、消えそうな声で吐き出された真実。 嘘つきなあなたは、無意識に嘘をつくのを止めた。 だからさようなら。 さようなら、先生。 さようなら、嘘つきな先生。 こんにちは、嘘つきな自分。 今度は俺が――― あなたの為に――― 嘘つきになる番。 [←][→] |