だから僕は-03
"楽になれる"
その言葉でスイッチが入った俺は、今までの事を物凄い勢いで吐き出した。
話術が得意でない俺の話は相当わかりずらいものの筈なのに、シカマルは口を挟まず真剣に聞いてくれた。
時折寄せられる眉のシワにビクッと反応してしまうものの、全て話し終えた俺は久しぶりに涙を流している事に気づいた。
最後に涙を流したのはいつだったけ…
思い出そうとしても思い出せない。
最初こそ一人取り残された部屋で涙を流していたものの、いつのまにかそれもなくなった。
「ホラ。」
話し終わったと同時にシカマルは立ち上がり、箪笥からタオルを出して俺に投げつけた。
「へへ、サンキュ。」
タオルを受け取ると同時に恥ずかしさがこみ上げてきて、誤魔化すためにゴシゴシ力を入れてタオルで目をこする。
「そんな力入れてこすったら目、赤くなんぞ。あ、泣いてっからこすらなくても赤いか。」
「うるせーってばよ。」
こんなどうしようもなくバカな話しをして引かれないだろうか、と緊張しながら話していたナルトはいつもの様に悪態をつくシカマルの態度にホッと胸を撫で下ろした。
だけど、
「…なぁ、ナルト。」
名を呼ぶシカマルの声はいつもと違って真剣で、俺はビクっと身構えた。
「…なんだってば?」
シカマルは言いにくそうに口を濁すが、やがて何か諦めた様に大きく溜め息を吐いて口を開いた。
「オマエもうやめろ……、そんな事。」
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