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けっきょく僕は-06



「先生が来るなんてめずらしいってばね。」



俺は床からベットの上へと移動して窓際にしゃがみ込んだ先生に近づく。



「なによ、俺が来ちゃマズいの?」



先生は俺の頭をクシャクシャ撫でながら少し拗ねた口振りで答える。



そんなのは偽りだってわかっているのに、愛おしいなんて思う自分は救いようのないバカだ。



先生が手を伸ばした瞬間、僅かに鼻先をつく香水の香り。



(なんだ、女の人に会いに行った帰りだってばね。)



以前は香水の香りがするたび嫉妬に狂いそうだったのに、不思議と今日は何も感じない。



ただ、



"あぁ、やっぱり俺は2番目なんかじゃない。大勢いるうちの一人なんだ。"



改めてそう思っただけ。



だって今まで意識してなかったけど、先生に染みついた香りは毎回違うものだって思い出したから。



香りさえ残せない俺は、いつも後回し。



他の人を抱いた後に会いにくるか、他の人を抱き終わる頃を想定した時間に会いにこさせるか。



匂いのしない先生とした事がない。



あぁ、そっか。



俺にはそんな価値もないってわけだ。



(俺はまだガキでしかも男……だからしょうがないってばね。)



でもね、先生。

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