コミカル・テロリスト
・青春クラッシュと微妙にリンクしてます
「みんな!聞いてくれってば!オレ、好きな人できた!!」
低血圧、でなくても大抵の人は朝に弱いものだと思う。身体も気分もなんとなーく気だるかったり。つまり、朝っぱらからハイテンションな奴はごく少数だろう。と考える俺は低血圧の部類だ。というか1日中気だるい。よって、金色の髪をした友人のテンションについていけない。あの。年中ハイテンション野郎、うずまきなるとには。
そんななるとは朝っぱらから遅刻ギリギリの時間に駆け込むようにバタバタと教室に入ってきたかと思えば開口一番、冒頭の言葉を口にした。クラス中、もしくは廊下や隣のクラスにまで聞こえる程の大声で。
(…めんどくせぇ、つか、どうでもいい、)
そんな友人のバカな行動に思わずため息がこぼれる。それは、隣にいたサスケも同じようで。呆れたようにウスラトンカチが、と舌打ちしていた。
だけども自分たちと違ってこういう話題に飛びつく奴というのはどこにでもいて。
「マジかよ、ナルト!でかした!で、告白したのか!?」
さっきまで同じ輪にいた筈のキバは等間隔に並べられた机や椅子をヒョイヒョイと避けながらナルトにかけよった。
ていうか、何がでかした≠セ。意味わかんねぇ。それに告白、って。昨日、そんな話してこなかったっつーことはオレたちと別れたあとにできたって考えるのが普通だろう。そんなに展開早いわけない、
「した!けどフラれたってば!」
したのかよ!どんだけ早いんだっつーの。ていうか、フラれたんならもっと落ち込めよ!あぁ、もうホラ。サスケの奴震えてるし。後先考えずに突拍子もないことするオマエに心底苛立ってるんだろう。その気持ちすんげぇ、わかる。めんどくせぇ友達もつと苦労がたえないって今、再確認した。
「オマエは。…どうしてオマエはいつもそう考えなしなんだ!昨日の今日で何故そうなる!この、ウスラトンカチがっ!」
オレより先に。オレの言いたいことを、ご立腹らしいサスケが口にした。普段から何かと競いあってる二人だが(まぁ、ナルトが一方的に対抗意識もってるだけって気もするが)なんだかんだいってサスケにとってナルトはてのかかる弟みたいなもんなんだろう。
「?なんでサスケ怒ってんだ?」
「当たり前だ、このウスラトンカチ!オラ、ちょっとココに来てどういうことか説明しやがれ!」
「ウスラトンカチって言うな!」
そうしてオレたちはサスケを中心に、ナルトの恋ばな、なんて女子が好きそうな、それでいてオレたちには新鮮な時間を、担任がくるまで過ごしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「しっかしまぁ。ナルトが恋、ねぇ。」
「失礼だってばよ、キバ!」
「でも、一目惚れなんてあるんだね。お菓子に一目惚れしたことは何度もあるんだけどね、僕。」
「…お菓子に一目惚れ、って何だそりゃ。まぁ、恋なんてめんどくせぇもんオレはごめんだな。」
「めんどくせぇってなんだってば!いいか!?恋っつーのはスゲーんだぞ!」
「…何がスゲーんだよ、」
「……とにかくスゲーんだ!毎日がこう、なんつーかキラキラしてなんかわかんねぇけどスッゲェ満たされて、うん、恋って素晴らしい!」
「………(はぁ)。」
「なッ!ため息とか失礼だってばよ!オマエもそう思うだろ!?サスケェ!」
「…………、なぜだ。」
「は?」
「なんでオトコがリボンなんだって言ってんだよ!!」
いやいや、サスケ。今そんな話してねぇよ。まぁ、多少気にはなるけどいつものことだし。つか、よくそんなに怒れるな。オレはそんなことにいちいち反応すんのもめんどくせぇけどな。
斬新な朝を過ごしたその数時間後。そろそろ小腹がすいたな、なんて腹の具合を我慢して体操服に着替えたオレたちは4限目の体育を受けるべくグラウンドへ向かっていた。
教室をでた時から何やらサスケが物言いたそうにナルトをチラチラ見てるな、とは思っていたけれどどうやらナルトの髪型が気になるらしい。髪型、というか。頭の上にのっているピンクのデカイリボンが気になるらしかった。
「あぁ、コレ?サクラちゃんから借りた。へへ、似合ってんだろ?」
リボンをクイクイ引っ張りながら自慢するナルトにサスケの額には青筋がひとつ増えた。ナルトはサスケを苛立たせる事に関してはピカイチだと思う、ほんとに。
「オトコがそんなんして恥ずかしくねぇのかよ。」
「なんで?体育すんのに髪、邪魔だしくくってる方が楽だってば。」
「そういうことを言ってるんじゃない。はぁ、もういい。」
そうだ、サスケ。コイツの言動にいちいち反応してたらこっちがもたねぇよ。何事も諦めが肝心だ。
「ナルト、あんたソレとれかかってるわよ。」
校庭に出てチャイムが鳴るまで適当に過ごしているとサクラたちがやって来た。女子も今日は外らしい。
さっきサスケがリボンのことを指摘した時に引っ張ったのが原因だろう。サクラの言う通り少しとれかかっている。
「マジ?あ、ほんとだってば。」
「しょうがないわね。やったげるからちょっとしゃがんでて。」
「やり!サンキュ、サクラちゃん!!」
そこで気づいた。ナルトについてるリボンがサクラと同じ、所謂お揃いだということに。だけどまぁ、どうでもいい。どうせサクラが2コ持ってたのを借りたか貰ったかどっちかだろうし。あ、サスケの奴、絶対ぇ気になってんぜ、あの顔は。
だけど口に出さず耐えてるサスケの顔が面白いな、なんて考えてるとくくり直したらしいナルトが急に叫びだした。
「カカシせんぱーい!好きだってばよー!だから早くオレのモノになってね、せんぱい!」
校舎の2階。
こちらをぼーっと眺めている銀髪の、オトコ、に。
コミカル・テロリスト
(そこまでいくと笑えない)
「…どういうことだ、ウスラトンカチ!オマエにはアイツがオンナに見えるのか!?あ!?どうみたってオトコだろうが!!」
「オトコとかオンナとか、そんなん関係ねぇ!愛は性別をも越えるんだってばよ!!」
(…やっぱり、めんどくせぇ。)
(ボーイズラブってやつね!なんかドキドキするわね、しゃーんなろー!)
(よくわかんねぇけど、愛ってスゲェんだな!)
(モグモグモグモグモグモグ…)
title:雌
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