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青春クラッシュ



恋は盲目の続き。










次、授業なんだっけ。あぁ、数学だ。


先週1回しか出てないし今日は出るか。なんて、授業終了を知らせるチャイムが鳴ったと同時に二つ備えられているベットのうちの一つからカカシは身体を起こした。

なんだかやる気がしなくて保健室にお世話になっていたのだ。まぁ、所謂サボリってやつ。

覚えている範囲でだが、今週も先週も一度も出席していない。下手すれば先々週も。

数学の授業は1限や2限に集中していて遅刻摩で有名なカカシからしてみれば出れるわけがないだろ、だそうで。

だけどさすがにこのままじゃ出席日数を落としてしまう。だから、唯一4限目にある今日は出ておいた方が良いという結論に至ったわけだ。



保健室を後にし、教室に向かう途中にある自動販売機で1日の野菜がコレ1本で取れる!≠ネんて俄には信じがたいキャッチコピーが有名な紙パックの野菜ジュースを購入し、足を進めながら付属のストローを突き刺して口にくわえたところで何の気なしに、窓の外に目をやった。



「………。」

校庭には体操服姿の生徒たち。
恐らく次は体育の授業なのだろう。が、カカシにはそんなことどうでもよくて。

視界を埋めるのは、集団でいようが、遠くにいようが、そんなの関係なしに一際目立つ金色。



うずまきナルト
(だったと思う、確か。)



最近知り合った、というかなんというか。

カカシはバイトや用事がない日は殆どと言って良いほど図書室に入り浸っている。周りはカカシに図書室なんて似合わない≠ネんて笑うが、本は好きだし騒がしいのを余り好まない故、静かすぎると言っても良いあの空間が自分には心地いい。のだが。

ここ最近、バイトも連休でこれといった用事も特になく連日図書室へと足を運びお気に入りの本を読みふけっていたところ、突然バタバタと勢いよく廊下を走る音が静かな教室に響いた。

何事か、と耳を澄ませばその足音は複数で、飛び交う会話のやり取りからすると、どうやら一人を複数で追いかけているらしく、新入生を上級生達が部活に勧誘しているようだった。

ソレは一瞬の出来事で。うるさいな、と眉をひそめはしたがそれで終わり。な筈だった。

どういうわけか、そのやり取りは毎日続いた。それはまるでデジャブのように、放課後、ほぼ同じ時刻に。

コレはいくらなんでも酷い。

この教室には自分以外にも利用者がいるし、自分のように暇があれば毎日のように通うものだっているわけで。本を読む者、勉強する者、どちらにしろ静かなこの場所を好んで来ている者たちからすれば非常に迷惑な話だ。図書委員たちも同じ気持ちらしく、何度か注意しようと試みたみたいだがなにしろ一瞬の出来事なのでドアを開けて廊下に出ると、そこにはもう誰もいない。という状態。

そんな図書委員の代わり、というわけではなく。あくまでも自分のために。つまり我慢の限界≠セったため先日、あのような行動をとり、注意したのだ。

そしたらどういうわけか告白された。

一目惚れだかなんだか知らないが、相手は男。そんでもってオレも男。もちろん丁重にお断りしたのだが。



『あー、ごめんなさい。お付き合いはできません。』
『どうしてだってば?』
『どうして、って…』
『彼女、いるんですか?』
『いや、居ない、けど』
『じゃあ!』
『いや、オレたち男同士だし、ね?それに、君のことよく知らないし、好きとか嫌いとかそういう感情も皆無な程薄い関係じゃない?オレたち。』
『…?よくわかんねぇけど、つまり、もっとお互いのこと、知ってから、ってこと、ですね?』
『え、いや、そうじゃなくて、』
『うん、じゃあ。とりあえず、先輩後輩≠ゥら始めましょう!』
『……(どうしてそうなる、)』



まずは交換日記から!なんてあり得ない事を言い出した後輩をなんとか説得し、とりあえず先輩後輩≠ゥら、ということで落ち着いた。そしてひとつわかった事は後輩くんは少しばかり頭が弱いということ。つまり、バカだ。ほら、今だって。

「…、リボンって、」

視界にうつる金色の後輩は、前髪上げて、頭にデッカイピンクのリボンをつけていた。

恥ずかしくないのだろうか。いや、妙に似合ってるんだけど、でも、なんでリボン?……本当にアイツの考えていることはわからない。わからなすぎて困る。ついてけない。

本来オレは振り回す側であって人に振り回されるなんて今までなかったのに。いや、本人は振り回してる気なんてないんだろうけど。あぁ、無自覚って恐ろしい。



教室に戻る途中だったのもすっかり忘れて金色を眺めていた。何故かなんてわからない。たぶん、あの頭の上にある物体のせいだ。

金色の周りにいる数人の友人たちは慣れているのか頭の上の不自然な物体には目もくれずじゃれ合っていて。そしたら今度は、桃色の少女がその輪に近づいてきた。

頭には金色と同じ、デッカイピンクのリボン。お揃い、ってやつ。

桃色は、少し乱れた金色のリボンに手をかけると結い直し始めた。金色は抵抗もせずされるがまま、なんならとびっきりの笑顔で礼を言ってる。



(…ナニコレ、イライラするんですけど。なんなの、コレ。意味わかんない、だけど酷く不愉快なのは確か、)










(僕の中の何かが弾けた。)





「あ、カカシせんぱーい!」
「………。」
「好きだってばよー!だから早くオレのモノになってね、せんぱい!」
「…ッ!」



だからどうして。
(僕に気づいた君の、ふざけたラブコールで、さっきまでのイライラが吹っ飛んだなんて、そんなのなにかの間違えであってほしい、切実に。)





title:カカリア








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あきゅろす。
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