甘くも悲しいストーリーK
「まさか、オマエにこんな特技、があったとはね。相性がいいのかな?先生、ハマっちゃった。オンナは何かと面倒だし……また、宜しく、ね。」
(……はぁ、)
よくもまぁ、こんなこと言えたもんだ。我ながら最低な男だと思う。だがしかし、仕方ない、とも思うのだ。
だって、あんな風に誘われて。されるがままでいれば、意外にも相手はそういう事に慣れているようにとれて。
あぁ、こいつ。快楽に飢えているのか。
一夜の過ち、的な、そんな事なんだろうと結論づけ、与えられる快感を素直に受けて、行為を堪能した。
だって誘ってきたのは向こうだし、自分は何度もはぐらかしたのだ(可愛い部下なだけに、ハッキリ拒絶はできなかった)。
だけどやはり。
これでもか、という程お互いを貪りあった後、気絶したように隣で眠る金色を横目に、寸前までの行いを後悔する。
だって、まさか。こんなにも気持ちいいだなんて、予想外。
未知なる快感に身体全体が歓喜し、普段とは結びつかない、金色の痴態に目を奪われ、興奮した。
そうして気づけば、目を覚ました金色に言っていた。冒頭の、言葉を。
あの日から一体、何度身体を重ねただろう。
あんな最低な言葉に、嫌な顔ひとつせず頷いた金色の心中は計り知れないけれど、多分、金色も自分と同じなのだろう。
後腐れなく、気兼ねなくに求め合える都合の良い欲のはけ口。言葉は悪いが言えばそんなところなのは事実。
だけどひとつの誤算。
回数を重ねても、飽きるどころか日に日に嵌る金色との情事の中で芽生えた感情。
たとえば、己の股の間に顔埋めて、光悦とした表情で、そそり立ったソレを頬張る口や、添えられた手。
時折見上げられる欲を含んだ飢えた瞳。
己を受け入れ、満たす身体。
それらぜんぶ、ぜんぶ。
(オレノモノニナレバイイ)
だけどどうして。
「そういや、ナルト。前に言ってた相手とは上手くいったのか?」
「え、あぁ…。いや、なかなか上手くいかねぇってば。」
「そうか。まぁ、気長に頑張れ。」
「おう。ありがとな、シカマル。(身体だけ、手に入れました。なんて、言えるわけねぇ…)」
偶然耳にした会話に絶望した。
甘くも悲しいストーリー
(あぁ、本当に欲しいのは、心、なの)
「…ッね、オマエ、好きな奴、いる、の?」
「ンッ、ハァ…アッ、せん、せ…?」
「オレは、…ッ、ソイツの、(代わり、なの?)」
なんて、聞けるわけない。
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