あいまい、らぶぁー02
「ナルト、合コンってなに、浮気?」
浮気、って、彼女いた覚えもないし、だいいちなんで先生が怒るんだ、いきなり背後に回り込んだと思ったら、ムダに殺気撒き散らして、ホラ、あそこの新人たちなんて耐えきれずに腰抜かしちゃって、シカマルだってびっくりして口から煙草落としそうだったし。
「…おかえり、先生。」
「………、ただいま、って、そうじゃなくて、結婚するって、半年前、言ったよね?オマエ。」
……、半年前、先生が長期任務に就く前、
「……(そういえば、)言った。」
「なのに合コン?」
(あぁ、そうか、)
オレがいるのに合コンに行くのか、それは浮気ではないのか、そう言いたいのか。
なんだろう、何もしていないのにドッと疲れが押し寄せてきた。
分からない、分からなすぎる、何がしたい、何が言いたいんだ、この人は。
「先生、あの、オレ、男なんだけど。」
「は?なに今さら、そんなの昔から知ってるけど。」
「うん、そう、オレはずっと男で、そんでもって先生もずっと男、そうだろ?」
「そうだけど、ソレがなに、」
「…結婚ってさ、男と女がするもん、ってゆーか、男と女でしか出来なくて、そんでもってオレ、子孫とか残せねーし、な?」
「……ナルト、子ども欲しいの?」
「オレ? いや、別に、欲しいとかそんなの、考えたことねーけど。」
「ん、オレも子ども欲しいとか、考えたことない。じゃあ、コレ。」
渡されたのは、妻となるもの、の欄だけ無記入の、婚姻届と、その見本。
初めてみたな、なんて渡されたソレをボーっと眺めてると、早く書いて、と、ボールペンを掴まされ、我に返った。
「いや、だから、男同士は結婚できねーんだってば。」
こんなことなら、あの時ちゃんと、訂正してやるべきだった。
まさか、先生がここまでバカだなんて。
なのに、
「うん、でも、オマエとオレは出来るんだ。」
なんて、駄々っ子みたいなセリフ。
「だって、そのために、命がけで半年も、超SS級任務を引き受けたんだよ。」
「………は、?」
「だから、ナルトとの、結婚を綱手様に認めてもらう代わりに、ずっと断り続けてた超SS級の任務を引き受けたの、なのに、ナルトは合コン?浮気?」
そんなのあんまりじゃない?なんて不機嫌に漏らした先生の顔を、振り向いて、半年ぶりに視界に入れた。
「……だって、そんなの、聞いてねぇ、」
(ばぁちゃんとそんな取引してたとか、そのための長期任務だとか、ソレが命がけの超SS級任務だとか、)
「ってゆーか、先生はオレが、好きなのかよ、」
(何も、聞かされてない、)
半年前の言葉が、冗談でもなんでもなくて、所謂プロポーズ、ってやつならば、そんなのする前に、もっと他に言うことがあるだろう。
だって、オレ達は、ゴールインもなにも、スタートもきってないじゃないか。
「何言ってんの、今さらでしょ、そんなの。」
なのに、サラリとこんなことを言ってのける、ふざけんな。
「何が今さら、だ。順番がおかしい。だいたい、いつから先生は好きなんだ、オレのこと。で、オレは、いつから、プロポーズされるような位置に居たんだ。だって、オレ達の間には何もなかった。気まぐれに家に来るだけで、何も。っオレは、先生のモノになった覚えは、ない。」
(勝手すぎる、人の気も知らないで。)
クシャリ、思わず手に力が入る。
だって矛盾してはいないか、本当にオレが好きなら、なんで何もしない、
…っ、なんだコレ、コレじゃあまるで、何かされたかったみたいじゃないか。
「……オマエは、オレのモノじゃあないよ、まだ、ね」
「……意味、わかんねぇー」
「うん、だから、オマエを、うずまきナルトを、オレのモノにしたいから、だから、コレ、わかる?」
力が緩んだ隙に紙切れは抜き取られ、シワのいった箇所を丁寧に伸ばしながら、一枚しかないんだよ、って睨まれた。
「で、どーなの?結婚、してくれるんでしょ?」
(あぁ、もう、敵わない。)
オレは男で、優秀な血を残してやることもできないけれど、だからといって、他の奴にくれてやりたくもないみたい、だから。
「オレがはたけになんの?それとも、先生がうずまきになんの?」
「そんなの、どっちでもいいよ、」
はたけナルト、うずまきカカシ、
どっちもしっくりこねーけど、とりあえず、
「先生、ちゃんと好きって言って、まずはそれから、だろ?」
(好きって言って、愛してるって囁いて、傍にいてって懇願して、離さないって抱きしめて、そしたら僕は、貴方だけのモノ、)
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