あいまい、らぶぁー01
「ナルト、結婚しようか、」
「………。」
「ねぇ、聞いてる? ナルト、」
「……うん、」
「結婚、してくれるよね?」
「……うん、」
あいまい、らぶぁー
別に、恋人同士でない、というか、好きあってるわけでもない、のに。
今年で10年の付き合いになる、元上司は、いつものように突然家にきて、勝手に寛いで、当然のように夕飯を平らげて、いつからか買い置きされた、この人専用の、コーヒーを口にしながら、言った。
教え子の時から、なに考えてるかわからない、掴み所のない人だな、と、思ってはいたけれど、それは10年経った今でも変わらないらしい。
(…確か今年で36、だっけ)
空になった、これまたいつだっけ、いつの間にか持ち込まれた、あの人専用の、コーヒーカップを片しながら、思う。
そんな風に見えたことは一度もないけれど、世間では、もういい歳、と言われる年齢、そろそろ家庭に収まりたいのだろうか。
たとえ、そうじゃなかったとしても、10年経った今でも、あの人は変わらず木の葉一の業師であり里の宝。随時更新されるビンゴブックからも、名前が消える事はない。
そんなあの人の、子孫を残したいと望むものも少なくないだろう。
…ソレに、素直に従うような、そんな人でもないと思う、けど、
(…先生、オレが女に見えてきたのかな、)
写輪眼を酷使しすぎたとか、あぁ、それとも、アルツハイマーとかいう、アレかも。
どちらにせよ、どんなに懇願されようと、結婚もできなければ、子孫を残すこともできない、だって、
(オレはオトコ、だっつーの。)
だから、うん、って答えた。
なんかもう、いちいち反論とか、訂正するのがめんどくさかったから。
(結婚なんて、できるわけねー…)
そんな、何気ない日常の1コマを、いつまでも覚えてるはずもなく。
だってあの日からもう、半年が経った。
あの日から、先生とは会ってない。
いや、別に、毎日会ってたわけでもないし、いちいち会う約束をしたりする仲でもない。
ただ、気まぐれに、先生が家にくる、それだけ。
里で見かけることもない、ソレは、自分だけじゃなく、みんな。だって先生は、長期任務で里を離れているから、当然っていえば当然。
「そういえば、今日帰ってくるらしいぜ、カカシ上忍。」
「ふーん、」
上忍待機所で、マンガを片手に任務待ちするオレの隣に座ったシカマルが、煙草に火をつけながら言った。
「…半年間も、何の任務だったんだ?」
「さぁ、知らね。」
「………。」
何故、オレに聞くのだろう。この間、サクラちゃんに会った時も聞かれたっけ、そんなの、師である綱手のばぁちゃんに聞けば早いのに、オレに聞かれたところで何も知らない。だって、何も言ってくれなかった、あの人は。
「そう言えば、今日だったな。」
「何が?」
「忘れたのかよ、イノとサクラにしつこいくらい念押しされてたじゃねーか。」
「……何だっけ?」
「合コンだよ、合コン。後輩にセッティング頼まれたっつって、オマエも誘われてたじゃねーか。」
「あー…、そうだっけ?」
「ったく、トンズラとかやめろよ。オマエの所為でアイツらに殴られるなんてゴメンだからな。」
「おう、わかってるってば…、あ、でも、」
(今日、先生帰ってくるんだっけ、だったら、家に来るかも、しんねー…)
刹那、猛スピードでこちらに向かってくる気配、ひとつ。
隣にいるシカマル初め、その気配に気づいてる者は自分を除き、誰一人いない。
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