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バイバイ、ハロー、-02




仰げば尊し我が師の恩――……


















体育館からは定番ともいえる曲が流れていて、人気のない教室によく響く。







「………せんせ、」


窓側の、一番前の席に腰掛けて外を眺める後ろ姿にポツリ、声をかける。


珍しい銀色の髪をもつ、先生と呼ばれたその大人は、振り向いたものの、目が合うと、またすぐ窓の外へと視線を移した。


ソレにズキっと胸が痛くなる。


再度声をかけることも、立ち去ることもできやしない。


入口で突っ立ったままのオレに痺れをきらしたのか、大人は口を開いた。


「……何やってんの、こんなとこ居ちゃダメでしょ。」


頬杖をつきながら相変わらず外を眺めたまま発せられた感情の籠もらないその声は、自分が此処に居ては迷惑なのだと告げられているようで。


あぁ、やはり自分はこの人にとって用無しなのだ、と思い知らされる。


ならば、と意を決して教室に足を踏み入れ、一歩、また一歩、と歩み寄る。


「…式、始まってるでしょ。早く体育館に行きなさい。」


面倒くさそうに、自分を追い出そうとする声を無視して、大人の座る席の後ろに腰を下ろした。


「ソレは先生も同じだろ、教え子の卒業式までサボってんじゃねーってば。」


相変わらずというか、頑なにというか、大人は振り向かない。


開けられた窓から入る風によってサラサラとなびく銀色が視界を埋める。


だけどそれでいい、


「…せんせー、オレはもう、用無しか?」


ポツリ、背中に呟く。


「もう次の相手、見つけたのか?」


お願い、


「なぁ、なんであんな事したんだ?」


振り向かないで、


「なんで、オレだったんだ?」


言ってて悲しくなる、だけど言わなければ、


「オレじゃなくても、」


抱えていたものを吐き出して、終わりにしなければ、



「………オレじゃなくて、も、誰でも、よかっ…、た?」


ピクリと反応した銀色の両肩を、振り向かないで、と即座に掴む。


誰でもよかった、なんて、面と向かって言われれば確かに終われるんだろうけど、新しく進むことができるなんて思えない。


だって、だってオレは、こんなにも…、


「…好き、だった、あんな形でも、先生が、オレを求めてくれたのが、何よりも、嬉しかった、」


あぁ、泣くつもりなんて、泣きたくなんて、なかったのに、


「………ック、ありがとう、カカシ先生、」






誰よりも、誰よりも、愛してた、


愛なんてソコにはなかったけれど、


あなたと繋がっていたあの日々は、


何よりも愛しくて、大切な毎日だった、


ありがとう、愛しい人。

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