それは狂者の愛し方(仮)
ガチャッ
玄関をあけると同時に電球に反射しキラキラを増した髪をフサフサと靡かせながら駆け寄る愛しい子の姿が目に入る｡
何度経験してもこの光景は言い表せない程幸福で｡
ただいま｡
大人が両手を広げて待ち構えれば､子供は迷わずそこへ飛び込む…
筈だった｡
子供は大人の数歩手前でピタリ､と足を止めた｡
その表情は酷く傷つき､歪んでいる｡
どうしたの?
大人は問いかける｡
何も"わからない"､"気づかない"フリをして｡
とぼけるのは大人の得意技｡
だってホラ｡
心の中の､もう一人の大人は
意地悪く､ほくそ笑んだ｡
それは狂者の愛し方(仮)
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