好きと言って、
「ね、オマエの好きなものってなに?」
好きと言って、
とうとう俺は、おかしくなっちゃったのかもしれない。
……いや、もうずっと前から俺はおかしいんだ。
上司と部下・十四もの歳の差・男と男、そんな恋をしてしまった時点で。
だからこんなこと、聞いてしまったんだ。
きっと。
里一の業師(下的な方のね)、そんな間違っても誇れるようなものじゃない通り名をもつこの俺が目の前に居る獲物を狩る事もできやしない程のヘタレっぷり。
頭の中では強引に迫って、俺無しじゃ生きられない様に夢中にさせようと企んでいるのに実際は何もできないまま片思い歴はや三年。
夢中にさせるどころか夢中にさせられている始末。
だってさ、目が離せないんだもん。
出会った頃はうるさくてドジでいたずらっ子の問題児(そんなオマエも好きだけど)。
なのに自来也様との修行から帰ってきたオマエは本当に少しだけだけど落ち着いたし、なにより綺麗になった。
そんなオマエの成長ブリに周りの奴らも動揺しちゃってさ。
目を離した隙に誰かに取られちゃいそう。
だから目が離せない。
そしたら俺も以前よりハマっちゃって。
早く俺を好きになってよ、俺のモノになってよ。
そう思うのに何もできない俺。
本当にらしくない。
いままでの俺を知る奴がコレを知ったら驚くだろうね。
だけど仕方ないじゃない?
嫌われるのが怖いんだから。
だって俺とアイツは上司と部下で十四も歳が離れてて、何より男同士。
気持ち悪ぃーってば!なんて嫌われるのがオチなんだよ。
だけどさ、やっぱり言われたいんだ。
好き、って。
意味は違うけど、俺を浮かれさせてよ。
「オレの好きなもの、だってば?」
「そ、教えて?」
「一楽のラーメン!んでからお汁粉!」
うん、そう来ると思ったよ。
「他には?」
「んーっと、イルカ先生だろ、サクラちゃん、ムカつくけどサイも嫌いじゃないってば。……あとサスケも。」
ん?ちょっと待ってよ。
悔しいけどオマエの恩師であるイルカさんはわかるよ?サクラもオマエの初恋だしね。
だけどさ、次に出てくるのは俺じゃない?
100歩譲ってサスケは許すとしてなんでサイなの?
俺は?
「もう終わり?」
「えっと、じっちゃんも好きだし、綱手のばぁちゃん、エロ仙人も好きだってばよ!それに同期の奴らはみんな好きだし紅先生にアスマ先生も。我愛羅達もそうだし、あと木の葉丸達も!」
ねぇ、なんで?
なんで俺の名前は出てこないの?
オマエにとって俺は"好きな上司"でもないワケ?
「ナールト。いつまでたっても俺の名前出てこないんだけど、どういう事?」
冗談っぽく笑ってみせるが内心ヒヤヒヤ。
怖いけど知りたい。
オマエは俺をどう思ってるの?
「だって俺、カカシ先生は好きじゃねーもん。」
………え?
なにソレ、
俺嫌われてるの?
っていうかこの場合、嫌いだったとしても嘘つくもんじゃない?
いや、ナルトは正直者だから嘘なんかつけない。
って事は俺って本当に嫌われてるの?
はぁ……もうダメだ、死にたい……。
聞くんじゃなかったよ。
上司としても好きになってもらえてないなんて……。
「カカシ先生はー」
もういい、
どうせ"嫌い"って言うんでしょ?
そんなの聞きたくない。
聞きたくないよ、ナルト。
「" "だってばよ!!」
好きじゃ言いたりないくらい、あいしてる。
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