ひろいもの
その日僕は女の子をひろいました。



サーディン side



いつだったか

家業を継ぐのが嫌で家を出た。

その日も雨で僕はお腹が空いたのと寒さで参っていた。そんな僕に響さんは手を差し伸べ居場所を与えてくれた。



忘れていたわけではないその時の記憶

今フラッシュバックしたのは多分目の前にいるこの子の所為。



「きみ・・・こんな所にいると風邪ひくよ?」


雨は朝から降っていた
ずっとここに居たのか女の子はずぶ濡れで、体温が下がっているのが口元に現れている。


あの時の僕と重なって見えた



優しく声を掛けながら傘を差し出してみるが
女の子はピクリとも動かない。
仕方なく女の子に傘をさしたまま、しゃがんでその子の目線より下から様子を伺う

すると、ようやくこちらを見た。
その子の目は赤く腫れて痛々しくて・・・
泣いてたのか…?




女の子 side

こんな路地に人が通るなんて思ってなかった。ようやく見つけた人通りの少ないところだったのに


寒くて何も考えられない・・・




黙っているとその人は私の前にしゃがみこんだ。

思わずその人に目線を向けると
その人と目が合った

その瞳はキラキラしてて真っ直ぐ私を見ている。おまけに眉まで寄せて


「ねえ、君。大丈夫?」


ぼんやりする頭で聞こえたその言葉。


―もし、私が捨て猫だったらあなたは拾ってくれますか?―


「ちょっ、君!!」



覚えていたのはそこまでで、その人の大きな声が頭に響いた。







2008.04.28 UP
連載『ひとりはみんなの為に』
001 ひろいもの


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