甘いの
「元気ー着替えここ置いておくね」


『〜〜♪』


聞こえてるんだから返事くらいしなさいよね。


「名前ー、一緒に入る?」

「ばーか」




突然何の連絡もなく来たかと思えば、「つかれたー」って言いながら、すぐベッドに向かおうとする。
とりあえずお風呂に入れさせた

元気とは一緒に住んでいるわけではないが、たまにこうして突然来たりするから
元気の着替えは置いてある


元気がきた時すでに寝るところだったけどな。
そんな事を思いながらソファにすわりその辺においてある雑誌を手に取る


「それにしてもこんな時間…」



時計の針は12の数字を過ぎていた

帰りがこんな時間になるくらいまで稽古や仕事をしているんだと思うと、ちょっと心配になる


「すっきりしたー。」

お風呂場からタオル一枚を腰に巻いて出てきた元気はキッチンを漁っている
私は一つため息をつき、お風呂場までもどってタオルとドライヤーを持ってきた


「こら。」


ペットボトルのお茶に口を付けて飲んでいるから行儀が悪いと軽くしかる
元気はと言うと笑っていて、悪いとは思っていないようだ。


「ほら、水落ちてるし。」


きっと軽く拭いたであろう黒髪からはぽたぽたと水滴がたれている
元気をソファに座らせ頭を拭いてやる



「もう、なんでパジャマ着ないの?」

まぁいつもの事だけど。
でもいちおう女の子の部屋なんだから、年頃の男の人にタオル一枚でうろうろされるのは困る。


「めんどい。」

「めんどいじゃない。髪も乾かさないで…風邪ひくでしょ?」


持ってきたドライヤーのコンセントを入れ優しく髪を乾かしてあげる。我ながら、なんて過保護なんだと思ってしまうが
「あついんだもん」そんなことを言いながらおとなしく乾かされてるくせに



急に家に来るのも慣れた

髪を乾かすのも慣れた


きっとこうしているうちに元気は夢の中に行ってしまう

それでも来てくれただけで

嬉しくなれるんだよ?

だから、お世話してあげるよ。









「ほら、元気。寝るなら布団!」
「ん〜。」
「げんきー」
「名前も一緒に寝るの。」
「はいはい」

結局元気をあまやかす私。



-ao-
すっごく前に書いてたもの。
元気君はジャージよりパジャマ派希望。





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