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偽り
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「なんか、こうやって2人で夕飯作るの久しぶりだな」
「ごめんな、俺がここんとこ忙しくて…」
「ヒロが謝ることないよ、もうすぐ学園祭だし、しかたないよ」
「…ありがとな、ゆずる」

今日はヒロが早く帰ってきたから久しぶりに2人で夕飯を作ることにした。ちなみにオムライス。
もうすぐ学園祭があるからみんないろいろと忙しいらしく大変みたいだ。
何もすることがない俺は案外暇だったりする。


「…ヒロー」
「どうした?」
「俺、なんか手伝うことない?」
「んー、あ、じゃぁ、これ切って「じゃなくて」…」
「…俺もなんかヒロの役に立ち、たいなって…」

俺だけなにもしないのがなんか嫌だ。
渡された人参を切りながら、少しでもヒロの役に立ちたいと思って、小さくそう呟いていた。


「ゆずる…、ありがとな」

そう言って横から頭を撫でてくれて、俺は視線をヒロに向けた。

「俺は大丈夫だから、ただ学園祭の準備が忙しいだけだから心配すんな」
「ヒロ…」
「けど…なんかあったら、ヒロには連絡する」
「え?」
「だからそんときは俺を助けてくれよな」
「……、おぅ、任せ」

俺を頼ってくれたことが嬉しくて、つい手に力が入ってしまって、最後まで言えなかった。

「うぉぉぉー」
「ゆずる?!」
「………指切った」
「何やってんだよ…ゆずる」
「いてぇ……」


切った指を加えて血を止めようとしたら、ヒロにちょっと待てと言われ、リビングから消毒液と絆創膏を持ってきてくれた。


「…ヒロ、ごめん」
「気にすんな」
「……」
「よし、これで終わり」

絆創膏を貼ってくれたヒロにお礼を言ってまた人参を切ろうとしたら止められた。俺って、ほんとだめだ…。

「ゆずるはこっちをお願い」
「え?」


ボールと卵を渡されて慌てそれを受けとった。


「また切ったら痛いだろ」
「ヒロ……ありがと」


ヒロに感謝しつつ、俺はまた作業に取り掛かった。
やっぱりヒロは良い奴だ。改めてヒロの良さを再確認した俺だった。



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