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偽り
36


「で、べろちゅーされたやつに友達からでってことにして誤魔化したんだ」
「…はい……そうです」
「ふーん、がんばれ」
「そんなー、さーがーらー」

俺を見捨ててすたすた本を返しにいく相良にすがりつく。いつの間にか仲良くなっていた俺はちょこちょこ人がいないときを狙って相良と会っていた。もちろん場所は図書室だ。


「ひっつくな」
「見捨てないでください」
「…佐藤」
「……相良」

「諦めろ」

にっこり笑ってそんな言葉を言う相良にバカーと言って机に突っ伏した。
相良に昨日の悪夢を話して助けを求めてみたのだけど、見事玉砕した。
いや、なんとなく誰かに話したかっただけで、でも、そんな濃い話を出来る人はこの俺にいないわけで、結果こうなったわけだ。
あの後俺は必死につくもれんを説得し、友達からという条件と、人前では俺とは会わないという条件を意地でもとうしてなんとかその場を逃げてきた。
俺、…頑張った。



「ところでさ、なんで俺に話したわけ?」
「……だって、俺、友達…いないし…」
「いつも一緒にいるやついなかったけ?」
「……ヒロはいろいろと忙しいみたい…」
「ふーん、だから俺なんだ」


また、にっこりと笑った相良がどこか怖かった。
それよりも、最近ヒロがなんだか忙しいみたいで、部屋に帰ってくるのが遅い。理由を聞いても詳しくは教えてくれなかった。
たぶん、ヒロなりの事情があるんだろうと思いあまり検索しないでおいた。本当のところ寂しいけど…。


「はぁ」
「俺の前でため息つかないでくれる?」
「……ごめんなさい」
「謝れても困るんだけど」
「…俺、これからどうしたらいいと思いますか?」
「今まで通りでいいんじゃない?」
「……大丈夫かな」
「そんなの知らないよ」
「……そーですよね…」
「…まぁ、俺に出来ることがあったら手伝うけどね」「………」


気が向いたらだけどと言った相良にありがとうと笑顔でお礼を言うとそっぽを向いて気持ち悪いと言われた。だけど、俺は相良が心配してくれたことが嬉しくて笑っていた。
よし、大変かもしんねぇけど負けずに頑張るか。



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