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偽り
34


「あ、君の名前は?」
「………佐藤、です」
「じゃぁ、佐藤くん、君も一緒にこれ着る?」
「ふぇ?」


今までで一番変な声が出た思う。そんくらい副委員長の言葉は意味不明で俺はそのまま腕を持たれ、鏡の前に立たされてしまった。
俺はこの後どうなるんでしょうか。誰か俺に教えてください。そうずっと心の中で詠唱していた。




****



「はぁ…、やっと終わった」

1人廊下を歩いている俺は先程副委員長から解放された。長かった。もう外は赤く染まっていた。…何時間いたんだろ。
あの後俺に待っていた悲劇とは簡単に言えば…コスプレで、というか、いろんな服を次から次に着せられた。…あれが小清水風依の趣味らしい。いや、おかしいとかは思ってないんだ、ただ、俺に着せるのはおかしいと思うんだ…。ほんと恥ずかしくて死にそうだった。もう捕まりたくない。絶対に。

「……俺に、話しかけたりしないよな…」

一応はいろいろ理由つけて、人前では声をかけないようには言っておいた。じゃないと俺が危ない。まぁ、それをちゃんと守ってくれるかはわかんないけど、とりあえずはあの人の人柄を信じよう。…信じるしかない。
着せ替え中、つくもれんについて聞かれたけど、なんとか誤魔化すことができた。そんときはすげー焦ったけど。ほんとまじで…。


「てか、俺って授業サボりすぎだよな……………」


そう言いながら廊下の角を曲がったとこで人と鉢合わせをした。…誰って聞くなよ。


「……見つけた」


慌て反対方向に逃げようと後ろを振り返ったのと同時に腕を掴まれ、俺は空き教室の中に引きずり込まれた。そのまま黒板に背中を押しつけられて




キスされた。




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