偽り
31
九十九side
「……ここか」
あいつを追いかけてきて更衣室と書かれた部屋のドアまで来た。
俺は極度の方向音痴らしくあいつを探すのに時間がかかっていた。今日もたまたま会っただけだ。あいつに会えればそんなことどうだっていい。
ドアのぶに手をかけたとき、聞き覚えのある声が俺を呼んだ。
「つくもー、そんなとこで何やってんの?」
「……小清水か」
小清水が紙袋を持って俺のとこに来た。
「つくも?」
「…あいつがここにいる」
「ん?あいつ?…あ、この前言ってたおもちゃの子?」
「あぁ、」
「だけど、そこにはいないと思うよ?」
そう言った小清水に理由を聞けばいつも鍵をかけているから中に人は入れないとのことだった。
「……」
「もしかして、逃げられてんの?」
「…他探す」
俺はそう言ってその場から立ち去った。
あいつを見失ったことに苛立ちながらもう一度探そうと廊下を歩いていった。
九十九side終わり
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